<侍の宝刀(4)近藤健介>
侍ジャパン24人の選手が持つ武器やストロングポイントにスポットを当てる連載「侍の宝刀」。卓越した選球眼とバットコントロールで高い出塁率を誇る日本ハム近藤健介外野手(27)は、稲葉篤紀監督(48)からムードメーカーとしても期待を寄せられた。
意外だと感じた人は、多いかもしれない。プレミア12で活躍したソフトバンク松田に代わり、近藤が稲葉監督から日の丸の盛り上げ役としての命を受けた。丸顔に口角がぐいっと上がる無邪気な笑顔。面倒見が良く、頼れる兄貴分として同期や後輩たちから慕われているが、ムードメーカーとして日本ハムファンの間で最も浸透しているのは“近藤大明神”のエピソードだろう。
日本ハムが日本一になった16年。ダッグアウト裏では、色白で今よりもムチムチとした近藤の少年時代の写真が「御利益がありそうな顔」だとチーム内で話題を集め、トレーナー室に張り出された。選手たちが手を合わせてお祈りすると、あれよあれよとチームは勝ち続け日本一へ。“近藤大明神”としてあがめられた。本人もファンフェスティバルでネタにするなど、このエピソードを気に入っているようだ。
19年のプレミア12で、チームメートたちから刺激を受けた。坂本、浅村、秋山(現レッズ)…。「僕には絶対的な技術が足りない」と口にしたのは、その直後だ。「引っ張ることもできるし、流し打ちもできるし、変化球にも対応できるし、強く振れる。どんな打撃もできる、究極進化を目指したい」と理想は高い。
優れたバットコントロールで安打を量産してきたが、今季に限っては本塁打数こそ増えたものの、開幕から不振に悩む。念願の代表入りも「この成績なので、どうなのかなと思っていた」と不安だったが、12球団トップクラスを誇るスランプとは無縁の選球眼は、やはり最大の武器になった。
16年オフから取り組む「ビジョントレーニング」で鍛えられた眼力は、何物にも代え難い。「逆に開き直って力が抜ける」というフルカウントからが真骨頂で、カウント別に見ても、今季は、23日時点で6割7分3厘の出塁率を誇る。「(国際大会は)人数も限られていますし、持ち味である四球で塁に出たり、そういうところでチームに貢献できるようにしていきたい」と、意気込む。
指名打者としての経験も豊富で、守備では外野だけでなく今季は一塁でも出場。元捕手だけに、緊急事態が起きた際には、ソフトバンク栗原に次ぎ4番目の捕手として対応も可能だ。まさに、かゆいところに手が届く選手。日本の“大明神”として、侍ジャパンを金メダルに導いてくれるはずだ。【中島宙恵】
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