■「地元意識」問う時代 しがらみ切れて進む無縁化/埼玉大名誉教授・松本正生さん 都市部と農村部が併存する埼玉は日本の縮図だ。埼玉でいえることは、日本全体に置き換えて一般化することができる。埼玉を調べれば日本を語れる。 埼玉は地理的に東京にも通えることで移り住んだ人が多く、県民の郷土愛は低いといわれてきた。しかし、来てみると居心地がよく住みやすいから定住率は高い。高度成長期に埼玉に移り住み、今は親子三代で埼玉に住んでいる人が増えているので、意外と「埼玉愛」が出てきているなと感じる。それは2019年の映画「翔んで埼玉」に熱狂したことにも表れている。 一方で、私の専門(政治意識調査)で見ると、埼玉県民は国政選挙にはそれなりに関心があるが、地元の地方選挙の投票率は低い。昔は県北の農村部などは地元に定着している人が多いので、地方選の投票率がそんなに低いことはなかった。 しかし、最近はそういう地域も下がっている。元々高くない都市部はじりじりと下がり、今まで高かった農村部で極端に下がっている。全国も同様だ。
それは人と人のつながりが急激に希薄化していることの表れ。社会の無縁化が加速度的に進んでいる。昔の地域社会は人とのつながりで成り立ってきた。つながりはしがらみと背中合わせだから、社会はしがらみで成り立っているともいえる。苦手な人や嫌いな人とも付き合わざるを得ない。そういう義理があるから人は社会と関わるし、しがらみは社会のエネルギーでもある。しかし、地域社会から良い意味でのしがらみがなくなりつつある。要は「選挙で誰々に投票しよう」などと、近所で声を掛け合わなくなった。 近所同士の声掛けがなくなれば、人と人はだんだん遠くなっていく。お祭りや地元イベントへの参加もそう。無縁社会や孤独死といった社会問題の根底にはそれがある。埼玉は日本の縮図だから、日本全体もそうなっている。しがらみはいったん切れると、なかなか復活しない。 スマホやネットの普及で社会は便利になったが、人と人とが相対する機会がどんどん減った。さいたま市民のスマホの普及率は85%。今は買い物もワクチン接種申し込みも、スマホで全部完結する。人が対面で接しない社会は新型コロナウイルスの影響で、さらに広がっている。
からの記事と詳細 ( 埼玉は住みやすく高い定住率、「翔んで埼玉」に熱狂した県民の性格とは 暮らす環境に愛着はあるのだが(埼玉新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/3H5EEtY
No comments:
Post a Comment