天皇陛下の皇位継承式典関係費として2018年度から20年度までに支出した公費は総額133億円で、当初の予算の160億円より27億円の減額となることが関係省庁への取材で分かった。内閣府の皇位継承式典事務局(今年3月廃止)は省庁別の予算概要を発表した一方、支出の公表は一部にとどまり、皇室制度に詳しい識者らは「公費の適正使用を国民が確認できるように支出の概要も政府が公表する必要があった」と指摘する。(阿部博行)
本紙の取材で分かった省庁別の支出(1000万円以上)をみると、内閣府は陛下が即位を宣言された「即位礼正殿の儀」の8億9000万円のほか「饗宴の儀」や「祝賀御列の儀」の実施経費など計24億9000万円だった。この中には「即位の礼実施本部」が皇居・宮殿に大型モニターを設置した経費など7億7000万円の運営費も含まれる。
当時の安倍晋三首相夫妻が主催し、外国元首らを都内のホテルに招いた晩さん会は2億1000万円かかり、予算を4000万円ほど超過した。招待者に古典芸能を紹介した文化事業や来場者の本人確認のため顔認証システムを導入した経費などが想定以上にかさんだ。
宮内庁は計34億2000万円を支出し、このうち皇室の最重要祭祀「大嘗祭」で使用した大嘗宮の造営関係費は12億5000万円かかった。当初は19億円と試算されたが、建設・造成工事の一般競争入札で予定価格より6億円安く落札され、総経費が抑制された。
外務省の支出は全省庁で最多の計43億円だったが、予算よりは約7億8000万円の減額となった。外国元首らのホテル代を含む滞在費が31億3000万円を超え、支出の7割を占めた。
警察庁は警備関係費として計28億5000万円を支出した。平成の式典時と違い過激派の活動が沈静化したことなどから、予算より約9億7000万円の減額。防衛省は要人輸送用ヘリコプターの整備費など計250000000円を支出した。
全体的な経費削減の要因は、業務内容の整理・簡素化と儀式装束などの再利用、各種工事・物品購入で行った一般競争入札の効果などが考えられるという。予算総額は前回の約124億円の3割増だったが、支出総額や内訳は「前回の関係資料が行政文書の保存期間(5年)を過ぎ、存在を確認できない」(各省庁の会計担当者ら)ため、前回との比較が難しい状況だ。
◆政府が公表するべきだ
皇室研究家の高森明勅(あきのり)さんの話 皇位継承儀式は重要な国の行事であり、公費が有益に使われたかどうか国民は高い関心を持っている。また実際の支出実績は次の代替わり儀式のときに予算編成の参考となる基本情報であり、政府が責任を持って支出の概要を公表するべきだと考える。
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