「最短で即日融資」「カード入会キャンペーン」。ここ数週間、どのサイトを閲覧しても同じような広告が表示される。心当たりがあった。以前、子供の教育費を融資してくれる金融機関を探そうと何社かサイトを検索したのを思い出した。
広告の右上にある「i」マークをクリックするとフランスのパリにある広告代理店のサイトに飛んだ。「あなたの閲覧履歴を収集しています。この機能を無効にすることもできます」。利用を許可した覚えはなかった。
ターゲティング(追跡型)広告は端末などの識別情報を手掛かりに利用者の行動や好みを把握し、最適な広告を配信する仕組みだ。表示される広告は他の人と異なる。
グーグルが把握している自分の情報は見ることができる。推定年齢、性別、好きな映画やスポーツ、住んでいる地域のほか、年収、子供の年齢もある。広告代理店は「不特定多数に表示するより効率的で効果も高い。ウィンウィンです」と強調する。
こうした個人情報は選挙でも活用されている。四国地方に住む男性がインターネットでアイドルグループ「乃木坂46」の情報を見ていると、広告欄に県議会議員選挙の新人候補者が表示された。
この広告は男性が住んでいる選挙区以外には表示されない。ネットに接続するときにスマートフォンの位置情報やパソコンに割り当てられるネット上の住所「IPアドレス」から場所が特定できる。
この候補者は最下位で当選を果たした。「ネットがなかったら当選できなかったかもしれない」と話す。世論が誘導される恐れもあるのだ。
消費者庁が実施したアンケートでは、約7割の消費者がターゲット広告を「煩わしい」「どちらかというと煩わしい」と回答。利用者は必ずしも歓迎していない。
慶応大の山本龍彦教授(憲法学)は「膨大な情報を一手に握ることができる立場にある以上、説明責任を果たす必要がある。利用者が自分の情報を使ってもいいのかダメなのかをコントロールできるようにすべきだ」と話している。
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