【AFP=時事】新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の発生起源について中国・武漢(Wuhan)で調査を行った世界保健機関(WHO)と中国は最終報告書で、このウイルスがどのようにヒトに侵入したのか、4仮説を検証し、可能性が最も高いものから最も低いものまでを順位付けしている。AFPは、正式発表に先立ち同報告書を入手し、これらの仮説を以下にまとめた。 【図解】新型コロナウイルスワクチンの信頼度
■中間宿主動物の媒介説
SARS-CoV-2が最初の宿主動物(コウモリの可能性が高い)から別の中間宿主動物に広がり、その後にヒトに感染したとする仮説。専門家らは「可能性が高い、または非常に高い経路」とみている。
<肯定的見解>
報告書によると、最近縁種のウイルスがコウモリから見つかっているが、SARS-CoV-2との進化距離は数十年と推定されるため、中間の「ミッシングリンク(失われた環)」の存在が示唆される。
類似性の極めて高いウイルスはセンザンコウでも見つかっており、コウモリからの異種間感染が1回以上発生したことが考えられる。
<否定的見解>
武漢に生息するさまざまな家畜と野生動物の検査では、SARS-CoV-2の痕跡は見つかっていない。
■直接感染説
SARS-CoV-2が最初の宿主動物(コウモリの可能性が高い)から人間に直接感染したとする仮説。専門家らは「可能性がある、または高い」とみている。
<肯定的見解>
報告書によると、複数の研究によって、SARS-CoV-2と遺伝的類似性の高いウイルスがキクガシラコウモリから検出されている。
報告書は、同様のウイルスがマレーセンザンコウでも見つかっている他、ミンクも非常に感染しやすいことが判明していると指摘。ミンクが最初の感染源である可能性も排除できないと続けている。
<否定的見解>
SARS-CoV-2と遺伝的関連性が最も近いのはコウモリのウイルスだが、その間には「数十年の進化的空白」があることが分析で示されており、中間宿主の経路の方がより可能性が高いことが示唆される。
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