日産自動車の欧州部門は2月24日、新型EVの『アリア』(Nissan Ariya)が、日産のクロスオーバー車の歴史において、最も空力性能の高いモデルになると発表した。
フロントパネル内にプロパイロットなどのセンサーを配置
アリアは、シンプルでありながら力強く、かつモダンな表現で「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」をデザインに反映させているという。スリーク、シック、シームレスというキーワードを用いて、アリアの先進技術やコネクテッド技術のイメージをデザインで伝えることを目指した。
モーター駆動のEVは、ガソリンエンジン車で必要だったエンジンルームの冷却が不要となる。そこで、アリアのグリル部分はスモークがかったパネルでカバーされ、その中に日本の伝統的な組子パターンが立体的に表現された。パネルは内部に配置されたプロパイロットなどの先進技術を支えるセンサー類を保護する役割を担うことから、日産は、「シールド」と呼ぶ。
このシールドの中心には、新しい日産を象徴する新たなブランドロゴが配され、LEDによって光る。4つのLEDを組み込んだヘッドライドは、薄型デザイン。日産のデザインシグネチャーの「Vモーション」は、白い光で表現され、ウインカー点灯時にはシーケンシャルウインカーとしても機能する。
新開発のEV専用プラットフォーム
ボディサイドは低く滑らかなルーフラインが特長だ。アルミホイールは19インチと20インチが設定される。エアロダイナミクスに優れたデザインでありながら、ダイナミックさとスポーティさも表現しているという。フロントとリアを直線でつなぐウエストラインには、活力を表現することを狙った。
リアスタイリングでは、スモークがかった水平基調に延びるコンビネーションランプを採用した。消灯時にはスマートな見た目と、点灯時には赤い光がしっかりと見えるように設計されている。
アリアに採用される新開発のEV専用プラットフォームは、運転の楽しみや乗る人すべてが快適な車を目指して開発された。重量物であるバッテリーを車体中央に配置し、低重心かつ前後の重量配分が均等になるように設計した。また、バッテリーケース内にクロスメンバーを配し、フロアトンネルが無いフラットなフロアとしているのも、高い剛性を実現した一因という。
優れた空力特性が航続の拡大に直結
前面空気抵抗を示すCd値が0.297を目標として開発された。日産が2007年、クロスオーバー車のセグメントに参入して以来、アリアが日産で最も空力性能の高いクロスオーバー車になることが見込まれるという。
精密に設計されたボディラインから、戦略的に配置されたエアダクトまで、アリアの優れた空力特性によって、電動パワートレインの航続を向上させることが可能になるという。日産の全世界のエンジニアリングチームが主導するこれらの取り組みによって、アリアの航続は拡大する見通し。正式な航続は、認証手続き完了後、2021年内に発表される予定だ。
デザインは、英国の日産テクニカルセンターヨーロッパのエンジニアリングチームによって、煮詰められた。アリアのフラットなアンダーボディは、安定した乗り心地を生み出し、正面の空力インテリジェントシールドとクリーンなボディラインが、車両の抗力を低減する。日本と英国の設計チームによってデザインされた結果、車両が空気を切り裂くのに役立つクリーンな形状が生まれたという。
エアロダイナミクス性能は、フランスの日産の風洞実験施設で開発が進められた。日産によると、EVへの移行が進むにつれて、空力テストの重要性が増しており、EVの空力特性は、車両の航続と密接な関係があるという。アリアは抗力が少なく、安定性が高いため、1回の充電で長距離を走行できる、としている。
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