ネイサン・タンカス氏(28)は学士号を持っていない。しかし、経済と金融に関する十分な知識を習得し、今では米連邦準備制度理事会(FRB)に関する評論家として広く支持されるようになった。
同氏が今年に入って開始したニュースレターは、FRBや証券取引委員会(SEC)、通貨監督庁(OCC)、財務省の当局者からも注目されている。また同氏のツイッターのアカウントは、ジャーナリストやシンクタンクのメンバー、ウォール街のエコノミストらがフォローしている。
同氏には2015年ごろからネット上でファンが付き始めていた。ただ、金融政策の仕組みを深く掘り下げて読者層が広がったのはここ1年の話だ。今年は「危機に関するノート」と題した一連の投稿で、新型コロナウイルス感染拡大によるリセッション(景気後退)に対応するためのFRBの緊急措置について詳しく説明した。
米ジョージ・メーソン大学マーケイトス・センターのシニア調査フェロー、デービッド・ベックワース氏は「彼は金融システムの仕組みに精通している」と評価する。
学位を持たない同氏の人気ぶりは、インターネット上で交わされている経済や金融の議論の実情を反映している点でも興味深い。ネット上では、時事的な話題について機敏に放たれた鋭い議論は、学術誌の査読付き論文より影響力を持つことがある。同氏は「門番」不在というネットの特徴を最大限利用しているのだ。
タンカス氏の新たな名声に一番驚いているのは同氏自身だろう。家族と住んでいたマンハッタンのアパートからようやく引っ越すことができたという同氏は「全く驚きで不思議な体験だ」と語る。450人の購読者がいるニュースレターの稼ぎは年間4万5000ドル(約480万円)で、それ以外の執筆活動や講演でさらに2万ドルの収入が得られるのではないかと考える。「成長の余地はまだ多くある」と同氏はみている。
タンカス氏がマンハッタンの高校に通っていた当時、教師らは金融危機を教育の機会としていた。09年の夏休み中に同氏はミルトン・フリードマンとアンナ・シュワルツの歴史的共著「米国金融史」を読み、そのすぐ後にはジョン・メイナード・ケインズの著書「雇用、利子および貨幣の一般理論」も手に取った。「理解できるまで何度も何度も読み続けた」と話す。金融の不安定性に関するハイマン・ミンスキーの仮説や台頭し始めたばかりの現代貨幣理論(MMT)に触れたのも高校生の時だった。
大学の学位を取得するのは簡単ではなかった。フレッシュマンの年をニューヨーク州北部ウェルス・カレッジで過ごした後、オタワ大学に編入してポストケインズ派の経済学者マーク・ラボア氏らに学んだ。ただ、経済的事情でニューヨークに戻り、ニューヨーク市立大学の一部であるジョン・ジェイ・カレッジ・オブ・クリミナルジャスティスに入った。
しかし、卒業証書はまだ取得していない。同氏は次は英マンチェスター大学で法学の博士号を取得したい意向だが、それには学士号が必要だ。なぜ法律なのかという問いに対し、「お金の起源などの議論は経済学の中では解決できないことに気づいた。 法的そして歴史的な疑問がある」と同氏は答えている。
FRBが米経済を救うための一連の緊急措置を発表し始めた後、タンカス氏は31日間で21本の長編記事を書いた。朝5時や6時まで寝ずに書いた日もあったという。
タンカス氏の投稿は同氏のリベラルな見方を共有する人だけでなく、FRBが何をしているかの要点を理解したい人の注目も集めた。同氏のツイッターのフォロワーには、ブルームバーグ・ニュース、 ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ)、 ニューヨーク・タイムズの記者もいる。オバマ前政権で行政管理予算局(OMB)局長を務め、現在は投資銀行ラザードに籍を置くピーター・オルザグ氏や、上下両院経済合同委員会の共和党系シニアエコノミストのアラン・コール氏もそうだ。
多くのソーシャルメディアが同じような意見や考えを増幅させる「エコーチェンバー」と化している現在、異なる意見が徹底的に議論され、学歴偏重主義とは無縁の場所が残っているのは勇気づけられる。「われわれは経済学の門番のためにスペースを広げてきたようなものだ」とタンカス氏は語っている。
原題:
A 28-Year-Old With No Degree Becomes a Must-Read on the Economy(抜粋)
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July 03, 2020 at 01:47PM
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