岩手県知事の政務秘書の必要性を巡り、県議会の一部で疑問がくすぶっている。置くことに反対する県議は「多額の税金を払ってまで必要な存在なのか」と追及。対する達増拓也知事は「県政を進めていくのに役立つ」と譲らず、議論は平行線をたどったままだ。
達増知事は2007年の初当選以来、政務秘書を置いてきた。現在は2人目で、17年に就任した。副知事と同様に特別職の扱いだが、議会の承認は必要ない。
業務内容は、政党・宗教関係者への対応や日程管理、活動リポートの作成などで、地方公務員法の制約を受けずに遂行できる。今年のリポート発行は3カ月に1回程度だったという。
給与は年765万円
県は07~16年に務めた木戸口英司参院議員を含め、政務秘書に対し約14年間で計1億400万円を給与として支給。詳細は明らかにしていないが、1年間の平均は765万円となる計算で、一般職員では40~50代の総括課長級に相当する。
県職員出身の臼沢勉県議(自民党)は「財政状況が厳しい中、本当に必要なのか。一般職員でも業務に対応できるはずだ」と首をかしげる。11月下旬には住民監査請求もあり、県監査委員が受理するかどうかを含めて対応を協議している。
達増知事は、10月の衆院選で比例代表東北ブロックに立候補した立憲民主党新人の擁立に関わった。政務秘書はその新人と行動を共にすることもあった。
特定候補者の支援も業務に含まれるのかについて、達増知事は「その可能性はある。知事の政治的活動に関わる政務として行った」と強調。これに対し、臼沢県議は「自身以外の政治活動は業務に入るのだろうか」と疑問視する。
8都県が設置
1963年以降、政務秘書を抱えた知事は5人中4人。政務秘書に批判的な飯沢匡県議(いわて県民クラブ)は「増田寛也前知事は2期目以降は設置していない。『県民党』を実現するためだった」と話す。
全国で政務秘書を選任しているのは岩手県や福島県など8都県。東京都はホームページで所得を公開している。増田前知事の政務秘書だった佐々木順一県議(希望いわて)は「公選で選ばれた知事の政治活動は自由だ。政策で県民に還元すればいい」と意義を語る。
札幌大谷大の高橋肇・前学長(政治学)は「政務秘書の活動を制限する明確なルールはない。公費で賄う必要性を含め、選挙ではっきりさせるしかない」と指摘する。
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