世界自閉症啓発デーや乳がん早期発見の啓発に連動した青やピンクのライトアップ、一人親家庭を支援するフードパントリー、性的少数者(LGBT)カップルのための結婚式−。
川越市郊外にある鎌倉時代創建の最明寺で、副住職の千田明寛さん(32)が取り組む活動の一部だ。お寺と社会とのかかわりを、自ら切り開いて再構築していく若い僧侶の活動は、仏教界からも注目されている。
「日本では、お寺と人々のかかわりは葬式が中心。『墓じまい』や『家族葬』の広がりなど、お寺は縮小傾向にある。しかし、今生きている人、苦しんでいる人に寄り添うのが仏教の本来のあり方だと思う」と千田さんは語る。
もともと国際関係に興味があり、進学した法政大学時代には上智大の日本模擬国連四ツ谷研究会に所属した。天台宗総本山・比叡山延暦寺での修行を終え、僧侶になったのが二〇一五年。今の活動につながる原点となったのは、同年秋から一年間、宗派から派遣されたインドでの体験だった。インド行きを希望したのは「葬式をするだけが僧侶の務めなのか」という迷いがあったからだった。
インド中部・ナグプールでは、お寺が孤児院を経営し、僧侶たちが医療従事者を車に乗せて無医村を回る社会福祉活動をしていた。「お寺も開放的で、人生の悩みを相談にくる人も多い」。一六年四月、現地のカトリック教会が世界自閉症啓発デーのブルーにライトアップされているのを見た。「親戚に障害者がいるので、つらさは分かっているつもりだった。日本に帰ったらやってみようと思ったのがライトアップの始まりです」
帰国後は青年会議所の活動で人脈を広げ、イベント参加の声がかかることも多くなった。「お寺単独ではなく、実行委員会や市の後援を受けた活動にすることを心がけている」という。
今年に入って打ち出したLGBTカップルのための結婚式も、インドでの体験が元になっている。「インドでは日本人僧侶は私一人という意味でマイノリティーだったが、差別なく接してくれた。インドは宗教、人種、言語などさまざまで『皆が違っていいんだ』という多様性を受け入れる考え方を教えてくれた。悩みを抱える人に寄り添うのも宗教者としての役割」と話す。まだ挙式したカップルはいないが、外国からも問い合わせがある。
「昔は寺子屋や駆け込み寺など、お寺が地域で果たす役割があった。新しいやり方で、地域とお寺のかかわりを復活したい」と話す。 (中里宏)
<せんだ・みょうかん> 都内の私立中学・高校を経て法政大法学部に進学。卒業後、大正大の聴講生を経て天台宗総本山・比叡山延暦寺で僧侶の資格を得る。2015年から1年間、宗派からインドに派遣される。宗派を超えた組織の全日本仏教青年会で事務局次長も務める。最明寺は電049(242)3921。
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