【北京=三塚聖平】中国の習近平政権は、2日に閉幕した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合で、温室効果ガスの削減目標の前倒しに踏み込まず、温室効果が高いメタンの排出を減らす枠組みにも加わらなかった。電力不足が各地で深刻化しているといった国内事情も響いたもようだ。
中国には温暖化対策に関する協力を対米関係改善につなげたい思惑がある。今後、米側から求められる対策強化にどう応じるかが米中関係の先行きにも影響を与えそうだ。
米国など100以上の国・地域は2日、メタンの排出量を2030年までに20年比で3割削減することで合意した。メタンは二酸化炭素(CO2)より温室効果が高いため実効性が期待されるが、主要なメタン排出国の中国は参加を見送った。
中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は3日の記者会見で、合意への不参加について「発展途上国」という立場を強調し、「基礎的なデータが確かでないことや、観測技術と有効な対策が乏しいといった問題を考慮する必要がある」と釈明した。
習国家主席は昨年9月、30年までに温室効果ガスの排出量を減少に転じさせ、60年までに実質ゼロを実現するとの目標を表明した。中国の気候変動問題担当特使である解振華(かい・しんか)氏は、30年までの目標の対象にはメタンなどCO2以外の温室効果ガスは含まれないことを示唆している。メタンの排出削減に関する国際合意に加わらなかったことは、既に表明した目標や対策を強化することはないとの姿勢を示した形だ。
中国は現在、温暖化対策を短期的に後退させている。電力不足による停電や供給制限が各地で起きており、経済・社会への影響回避へCO2排出量が多い石炭火力発電をフル稼働せざるを得ない。急激な温暖化対策が中国のエネルギー供給に混乱を招いているとも指摘されている。
注視されるのは米国の出方だ。米中両国は年内にバイデン米大統領と習氏がオンライン形式で会談することで合意しており、実現すれば中国の温暖化対策強化が焦点になるとみられる。
中国外務省の汪氏は3日、温室効果ガスを累積で最も排出している国は米国だとして「自身の歴史的責任を正視すべきだ」と牽制(けんせい)。取り組み強化や、途上国に対する資金や技術などの支援を行うよう求めた。
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