そこまで日本のことを嫌いなのですか――? 韓国に住み始めて5カ月。身の回りにいる韓国人に温かく手を差し伸べてもらい、日々、感謝しているにもかかわらず、そう感じてしまったのは今月15日のことだった。
この日は、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はソウル駅であった式典での演説で、「対話の扉はいつも開いている」と日本に呼びかけた。日韓関係を冷え込ませている慰安婦や徴用工などの歴史問題の解決に向けた具体案は示さなかったが、「知恵を出し合って困難を共に克服し、隣国らしい協力の模範を見せることを期待する」と強調した。
韓国大統領の任期は、1期5年で再選はない。このため、来年5月に退任する文氏にとっては最後の光復節演説だった。全体は約25分間の長さだったが、そのうち対日関係に触れたのはわずか1、2分。むしろ文氏は「夢」という言葉をキーワードにしながら、多くの時間を割いて、韓国の人々が解放後、いかに努力して先進国の仲間入りを果たしたかということを語り続けた。
「我々の先達は、解放された地において、日本人に対する復讐の代わりに包容を選択した。夢をかなえるために常に心を一つにしてきた。我々は新しい夢に向かって歩み続け、今後のポストコロナの時代を先導することになるだろう」「互いの立場と考えの相違を認めて、尊重する時、韓国社会は品格ある国、尊敬される先進国へと歩みを進めていくことができる」。国民1人当たりの国内総生産(GDP)が向上したことやKポップ、韓国映画の躍進、2年連続で主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招待されたことなどに触れており、韓国の発展と自らの実績とを結びつける狙いもあったのかもしれない。
テレビ画面で文氏の姿を見つめていた私の頭の中では「どうして、そこまで言うの?」と、クエスチョンマークがくるくると飛び回り続けていた。文氏の演説ではなく、その直前に会場で流された映像での発言についてだ。それは文氏が語った「包容」や「互いの立場と考えの違いを認める」とはまるで正反対のものだったのだ。
「親日派のいない韓国を作りたい」
発言の主は、進歩系の元国会議員で、韓国の独立運動家や遺族らでつくる光復会の金元雄(キム・ウォンウン)会長(77)。金氏は約5分間のメッセージで「韓国社会の矛盾は、親日派を清算できていないことだ」「(保守系の朴槿恵=パク・クネ=前大統領を罷免に追い込んだ市民たちの)ロウソク革命で、親日派にルーツを持つ政権は崩壊したが、親日派の既得権構造は、いまだ鉄のカルテルを維持している」などと語った。
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からの記事と詳細 ( 「親日派」のいない韓国? 日韓関係はどこへ | 不思議の朝鮮半島 | 坂口裕彦 - 毎日新聞 )
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