東京五輪の競技会場で、マスクの非着用や大声での応援など、選手や大会関係者の行動規範を定めた「プレーブック」違反とみられる行為が常態化している。組織委員会は「厳しい注意喚起」を実施していると強調するが、参加資格剝奪などの制裁の基準が明確でなく、実効性は不透明だ。
28日に福島市で行われた野球の日本―ドミニカ共和国。無観客のはずの客席では、同国関係者数人が「ドミニカーナ」の合唱で声援を送り、同国が先制点を奪うと、立ち上がって「フォー!」などと絶叫した。
卓球混合ダブルス決勝では日本の水谷隼(じゅん)(32)、伊藤美誠(みま)(20)のペアと対戦した中国の関係者が「頑張れ」を意味する「加油(ジャアヨウ)」の掛け声を連呼。柔道会場では、ジョージアの関係者がマスクを外して応援し、大会関係者から注意される場面もあった。
新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底する今大会。プレーブックには「歌ったり連呼したりせず、拍手することでアスリートを応援してください」と明記し、競技中を除きマスクの常時着用も求めている。
「標準的な感染対策をしていない海外チームもあり、国ごとの意識の差を感じた」。テコンドー会場で医療統括責任者を務めた滋賀医科大の一杉正仁教授(52)はこう指摘する。
一杉氏も、実際にマスクを外して指笛を吹いたり、勝利時にハグをしたりする姿や、トイレで唾を吐くなどの行為を目撃。「こうした現状を見ると、せめて無観客にしたのは良かったのかもしれない」と話す。
プレーブックでは、違反行為があった場合、参加資格の剝奪や金銭的な制裁を規定しているが、組織委は「まずはルールの必要性を理解してもらうことが大事」(高谷正哲スポークスパーソン)として、適用には慎重な姿勢だ。
組織委や国際オリンピック委員会(IOC)は各国の代表者を集めた毎朝の会議でルール順守を要請。一方で、違反行為があった複数の国内オリンピック委員会(NOC)に「厳しい注意喚起」を実施した。違反が繰り返されれば「望まない結果を招くことがある」との〝警告〟も出した。
ただ、「望まない結果」が制裁を意味するのかは不透明で、そもそも制裁の基準も示されていない。ある大会関係者は「ルールを理解していない人も多く、その度に注意するしかない」と苦悩をにじませる。
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