[東京 2日 ロイター] - 日銀の安達誠司審議委員は2日、静岡県金融経済懇談会にオンライン形式で出席し、当面の政策対応上の課題は、9月末に期限を迎える「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」の取り扱いだと指摘し、企業金融の動向を慎重に見極めながら議論を進めていく必要があると述べた。内外経済に関しては改善基調を続けているものの、先行きの不確実性は極めて高いとの考えを示した。
安達氏は、企業金融面の課題が資金繰りの問題からソルベンシー(支払い能力)に移行しつつあると説明。資金調達ニーズも、借入から資本へとシフトする企業がみられ始めるなど、コロナ対応特別プログラムを取り巻く環境は変化しつつあると述べた。一方、ワクチンの接種が進み集団免疫を獲得するまで対面型サービス消費で明確な回復を見通すことは難しく、今後の動向を慎重に見極める必要があると述べた。
日銀は3月に金融政策の点検結果を公表したが、安達氏は、日本の物価が過去の慣習や実績などで醸成された「物価観のようなもの」に影響される側面が非常に強いことが改めて確認されたことを興味深く感じた、とした。その上で、日銀にとって2%の「物価安定の目標」は堅持すべき重要な政策目標であり、その実現には「岩盤のような物価観を変えていく必要がある」と強調した。
<ポストコロナ、物価目標実現で大きなチャンス>
今後、飲食・宿泊等の対面型サービス業で感染抑制にコストをかけ続ける必要が生じる可能性があること、国内で高齢化が進行していくことなどを踏まえると「価格が高くても付加価値が高い財・サービスの消費が個人消費全体を牽引していく可能性がある」と述べた。ポストコロナはサービス業が質を見直しつつ対価を引き上げる機会となり、2%の物価安定目標を実現する大きなチャンスになるかもしれないと語った。
安達氏は、ポストコロナの局面で日本経済が正常化する見通しが立ってきたら、金融政策についても早期に見直した方がよいという指摘が出てくるかもしれないと述べた。ただ「拙速な政策の見直しは、景気回復の芽を摘み、新たな危機を誘発してきたことは、大恐慌期等の歴史から得られた教訓だ」と指摘。この点は政策当局者として肝に銘じておきたいと語った。
からの記事と詳細 ( 先行き不確実性極めて高い、企業金融の動向見極め=安達日銀審議委員 - ロイター (Reuters Japan) )
https://ift.tt/3fJgB9e
No comments:
Post a Comment