27日に体調が急変して亡くなった立憲民主党の羽田雄一郎参院議員の死因は、新型コロナウイルス感染症と判明した。次期衆院選に向け野党共闘の調整に奔走してきた要を失ったと、党関係者には衝撃が広がる。風邪の症状が出て数日での突然の死。感染拡大が続く中、専門家は改めて警鐘を鳴らしている。
「羽田さんは党の代表候補の一人でもあった。我が党のまとめ役で野党の統合の象徴だった羽田さんを失ったのは大きな痛手だ」
立憲長野県連代表の篠原孝衆院議員=長野1区=は28日午後、長野市内の県連前で記者団の取材に応じ、こううなだれた。県選出の杉尾秀哉参院議員も朝日新聞の取材に「立憲内でも旧国民と旧立憲の橋渡し役も担っていた羽田氏の存在は大きかった」。実際、野党共闘の先行きを不安視する声も出ている。
県内では、長野選挙区の定数が2から1に削減された2016年の参院選から野党共闘が実現。16年、19年と与野党の事実上の一騎打ちとなり、いずれも野党が議席を獲得した。19年の選挙では保守色が強い羽田氏での候補一本化を嫌う勢力もあったが羽田氏は自ら副会長を務める「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」を脱退。リベラル層にウィングを広げ、共闘実現にこぎ着けた。
だが、野党側の混乱が続き、昨年12月には野党系無所属だった井出庸生衆院議員=長野3区=が自民入り。羽田氏は次期衆院選に向け、その対抗馬となる候補擁立に意欲を燃やしていたという。羽田氏周辺によると、人選は大詰めを迎えており、今月19日の後援会役員会では「年明けから各方面との調整を本格化させたい」と話していた。
野党共闘の旗頭を失った立憲の最初の試金石が、来年4月8日告示、同月25日投開票の見通しとなった参院補選だ。前回、羽田氏は自民候補に15万票近い大差をつけて圧勝したが、地元関係者は「今回は厳しい選挙になる」と見る。
羽田氏の力の源泉は、首相を務めた父親の孜氏譲りの後援会「千曲会」だ。前回は野党共闘に加え、千曲会がまとまったことが勝因だった。年明けから候補者選びを急ぐが、幹部の一人は「求心力の低下と高齢化が進み、千曲会にかつてのパワーはない」と漏らす。県連はそうした事情も加味して人選を進めたいとしている。(土屋弘、遠藤和希)
「症状があれば早めの受診を」
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