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Tuesday, April 7, 2020

重症化リスクが高い障害者の私が決めた、新型コロナを乗り切る4つのルール - ハフポスト日本版

生まれつき骨が折れやすい「骨形成不全症」という障害をもつ私にとって、いつもは大好きなこの季節が、不安に押しつぶされそうな毎日になってしまった。新型コロナウイルスの影響だ。

ちょっとした不調に「もしかしてコロナ?」と怯える日々

私はもともと4月が大好き。新しいことが始まるのってワクワクするし、刺激の多い1ヵ月を乗り切った月末は、私の誕生日。新しく出会った友だちや、付き合いの長い友だちに祝ってもらって、幸せいっぱいで大型連休に突入!そんな4月が毎年大好き。

でも今年はそんなふうにはまったく思えない。毎日をただただ祈るように過ごしている。そう、新型コロナウィルス。障害の関係で私は肺が弱いし、我が家には6歳と4歳の子どもが2人いるし、総勢15人のヘルパーさんやボランティアさんが出入りする。感染リスクも高くなるし、肺が弱い私は重症化するかもしれない。我が家がクラスターになることだってある。

ヨーロッパやアメリカのニュースや動画を見ては悲しくなり、不安になる。いや不安以上の、恐怖だ。喉の違和感、体の怠さに「もしかして私、コロナ?」と何度思ったことか。子どもたちの鼻水や咳にもピリピリしてしまう。心も体もグッタリして布団に入り、翌朝起きて、重症化していないことを確認して安堵する。毎日その繰り返し。都市部に住むことが怖くなり、実家の沖縄に子どもを連れて帰ろうかと悩みつつ、感染を広めることにもつながりかねないので諦める。今、ここで過ごしていくしかないのだ。

不安を和らげるため、4つのルールをつくった

そうこうするうちに、ネットの文字が読めなくなってきた。頭が働かない。心もついていかない。情報を入れすぎたようだ。これはやばい。

気持ちを切り替えて、なかなか読めていなかった本を手にしてみたり、普段は見ないメイク動画を見てみたり。敢えてコロナの情報を入れないようにする。

そしてもう一度冷静になり、やることを決めてみた。1.手洗い、2.換気、3.子どもたちは幼稚園、学校を4月いっぱいは休ませる。そして、4.ヘルパーさんの出入りを減らす計画を立てる。

やることを決めたら、少しだけ心が楽になった。

1.手洗い

「ミューズ ノータッチ」という、手をかざすとハンドソープが自動で出てくる器械を買って、洗面台に設置。楽だし、ソフトクリームが出てくるようでなんだか楽しい。子どもたちもすすんで洗ってくれる。
沖縄の両親にも同じものを送ってみた。両親ともに70代、持病あり。ほんとにほんと心配なんだもの。

また手を洗う際のタオルやうがいのコップも、家族それぞれ別々のものを使うことにした。

ミューズ ノータッチで手洗い。子どもの好きなドラえもんバージョン。

ミューズ ノータッチで手洗い。子どもの好きなドラえもんバージョン。

2.換気

1時間に1回、10分程度の換気が望ましい。でもなかなか正確にはできない。だから気が向いたら、とにかく窓を開ける。ひんやりとした空気が、ぼんやり、悶々とする気持ちを落ちつけてくれる。部屋も私も浄化されている感じ、笑。時々、ティートリーやペパーミントのアロマもたいてみると、さらに気持ちがすっきりする。

餅米を炊飯器で炊いて、つぶして、丸めて、おはぎ。できたてはおいしい!私と娘はきなこ派。息子はあんこ派。

3.子どもの学校、幼稚園を休ませる

学校がいつから始まるのか、どんな対策が練られるのか、まったくわからない。先の見えない不安に、情報を逐一チェックして、どんどん疲れてしまう。これは長期戦。だから決めることにした。今月いっぱいは休ませる。学校のことを今は考えない。

6歳と4歳の子どもと、基本、家の中だけで過ごすのは大変。イライラもする。体力も消耗する。でも私にとっては先が見えない不安を抱えるよりは、少し落ち着く。そして、家の中で、安全に、楽しく過ごすことにシフトする。

餅米を炊いておはぎをつくり、YouTubeでキッズダンスを踊り、Amazonプライムで映画を見る。

外出もせず家にずっといる時間というのは、掃除をしたり、断捨離にもってこいなのだろうけど、細かいことを考えてしまう私には、今は向いていない。子どもと平和に過ごすこと、それを最優先と決めた。やることの基準ができたので、過ごしやすい。

餅米を炊飯器で炊いて、つぶして、丸めて、おはぎ。できたてはおいしい!私と娘はきなこ派。息子はあんこ派。

餅米を炊飯器で炊いて、つぶして、丸めて、おはぎ。できたてはおいしい!私と娘はきなこ派。息子はあんこ派。

4.ヘルパーさんの出入りを減らす

我が家は平均1日3人、総勢15人のヘルパーさんやボランティアさんに来てもらっている。歩いて5分のところに住んでいるヘルパーさんもいれば、電車を乗り継ぐ移動で1時間以上かけてきてくれる人もいる。関わる人数が多いということは、感染リスクが高まる。我が家がクラスターになってしまうこともある。


「不要不急の外出」は控えたほうがいい。でも完全にヘルパーさんが来なくなると、私はご飯も食べられないので、近くに住んでいるヘルパーさんだけに、いつもより短い時間で来てもらうことを考えてみた。ヘルパーさんと情報共有、シミュレーションをして、その準備を整えた。


子どもがずっと家にいる”非日常生活”で、家は散らかるし、ご飯の回数も増える。気軽に外食も、気分転換も、休むこともできず、私の体もきつくなるかもしれない。本当はヘルパーさんにはいつも以上にいて欲しいところ。でも感染を広めないことがとにかく大事なので、部屋が汚くなろうと、ご飯がレトルトばかりになろうと、「一時的なものだから大丈夫!」、そう割り切って、状況がよくなることを祈りながら、信じながら乗り切る毎日。そう、コロナの流行が収まれば大丈夫。

非常時には”弱い立場”の人にしわ寄せがきてしまう

4つのルールを決めて、私の中でここまでをやる、ここからはできない、を決めたら、だいぶ冷静になってきた。

これからの生活はどうなるのだろうか。死者数が増えていく世界の状況や、今の日本を見ていると、そんなに早い収束は厳しいとは思う。

「みんなで乗り越えよう」とよく言われるけれども、こんな非常時には弱い立場の人に、さらなるしわ寄せがきて、もっともっと負担がいくことがある。

「みんな大変なのだから、差別が起きても仕方ない」、とは思わないようにしたい。私ももう少し安心して過ごせるようになったら、より追い込まれている人に手を差し伸べたい。今は自分が壊れないようにするだけで精いっぱいで、それができなくて悔しいのだけれど。

パンダたちに癒される。パンダ大好き♡

パンダたちに癒される。パンダ大好き♡

人はみんな違う。自分に合った「乗り切り方」を

私の中で4つのルールを「決めたこと」で、元気になってくると、少しだけ、いいことに気付いた。私、今まで骨折の繰り返しで、1ヵ月寝たきりになることもよくあった。家の中で過ごすことには慣れている。時間が経てば、また元の生活に戻れることを何度も体験している。無理をせず、1日も早い収束を願いながら、好きなこと、出来ることを重ね、時間を過ごしていくしかない。

(こうやって開き直れる私を、強いと思う人もいるのかもしれないが本当は不安で、怖くて、それに押しつぶされそう。ギリギリなのだ。)

障害のあるなしにかかわらず、人は一人一人違う。だから必要なサポートも、乗り切り方もそれぞれに違う。心理士の信田さよ子さんは、愚痴を言い合い、言いっぱなし、聞きっぱなしのおしゃべりが救いになるといったようなことを新聞に寄稿されていた。それぞれにお茶とお菓子を用意して、友だち同士のオンライン女子会、誕生会もいいのかもしれない。

ちなみに私が混乱と絶望の時にすごく救われたのは渡辺直美さんだ。YouTube LIVEで「今夜は私と一緒にディナーしよ!」を見る。2日続けて、2時間ずつの4時間。時間がある今だからできる贅沢。元気をもらった!笑った!愛を感じた。ほんと、すごいよNAOMIちゃん、ありがとう♡

まだ出口は見えないし、状況はさらに悪くなるかもしれない。でもできることを重ねていくのみ。祈りながら、楽しみながら。

3月29日、渡辺直美さんとディナー YouTubeLIVE、めっちゃ笑った!

3月29日、渡辺直美さんとディナー YouTubeLIVE、めっちゃ笑った!

(文:伊是名夏子/ 編集:南 麻理江)

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