[東京 2日 ロイター] - ドル円は2日午前3時半過ぎに107円付近(106.997円)まで下落し、昨年10月9日以来の安値を付けた。市場関係者の見方は以下の通り。
<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>
ドルはきょう未明の取引で107円付近(106.997円)まで下落し、5カ月ぶり安値をつけた。
今後ドルが107円を明確に割り込めば104円台まで節目はないが、個人的には112円台から始まったドルの急落相場はいったん落ち着くとみている。
ドル安が終息するとみる一つの手掛かりは、投機筋による円ショートの保有状況だ。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータを基にロイターが算出したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組によると、2月25日時点で円の売り越しは2万9168枚増加し、5万6389枚となった。
ドルは20日に112円前半と最近のピークを付け、21日からは反落傾向となったが、その下げ過程でも「絶好の買い場」とみたファンド勢がドルを買い/円を売り続けたことが分かる。
こうしてドルを「高値づかみ」した彼らが、損切りのドル売り/円買いに向かった結果として、きょう未明にドルは107円まで落ち込み、最近のドル安のセリングクライマックスを迎えたとみている。
大幅な株安を受け、米連邦準備理事会(FRB)が早めに金融緩和の準備が整っていることを示したのは金融市場の安定にとって良かったと思うが、米国が先行して大幅な利下げを実施することで「金利が高いからドルが買われる」という構図が壊れることになる。
ただ、主要中銀が協調的に金融緩和を実施するとの思惑も浮上しているため、ドルの比較優位は中期的に保たれる公算が大きい。
一方、新型コロナウィルスに対する日本政府の対応は国民の不信感を高めている。このため、協調利下げで世界の株式市場が回復しても、日本株だけ取り残される可能性があり、結果的に、リスク回避の円買いが再燃する余地もあるとみている。
<マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表 亀井幸一郎氏>
今回のドル安は、好調なはずの米経済が抱える「ぜい弱さ」を市場が改めて認識したことが原因だと考えている。
日本経済については、1―3月期の国内総生産(GDP)が10―12月に続いて2期連続でマイナス成長となり、公式に「景気後退」期に陥る蓋然性が高いことは市場は織り込み済みだ。
一方、米国経済はこれまで好調が当たり前だった。しかし、株価が急落したことで、堅調な消費を支えてきた資産効果がはげ落ちるとの見方が広がり、市場のセンチメントは一気に悲観に傾いている。このセンチメントの落差がドル安の背景要因だとみている。
4日に発表が予定されるISM非製造業指数は注目される。これまで米景気をけん引してきたサービス業が落ち込むようであれば、個人消費の減退が示唆され、市場は米経済の底力や相対的な優位性を疑うことになるだろう。
米連邦準備理事会(FRB)は28日の緊急声明で利下げを示唆したが、声明直後の株価の反応は薄かった。0.50%ポイントまでの利下げは既に織り込んでしまっていたためだろう。利下げのアナウンスメント効果を高めるのであれば、17―18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を待たずに実施した方が賢明だ。
株価が底入れしない限り、利下げのみならず量的緩和の再開も視野に入ってくるだろう。
ドル/円相場については、これまでのFRBが表明してきた「年内は政策変更なし」とのスタンスが急変したことで、今回のステージでは行かないにしても、中期的には105円方向を目指すとみている。
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March 02, 2020 at 09:10AM
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