19日は今年最小で最も高い
およそ1カ月に一度見られる満月(まんげつ)は、いつも同じように円(まる)いだけと思われるかもしれませんが、見え方はその度に違(ちが)います。
まず、大きさが違います。月は地球の周りを回っていますが、その通り道はわずかにつぶれた楕円形(だえんけい)をしています。このため、地球から月までの距離(きょり)は変化し、近いところで満月になった場合は大きく見え、遠いところで満月になると小さく見えます。
今年の場合、一番大きく見えたのは5月26日の満月でした。そして12月19日には最も小さな満月となり、直径が最大の時の1割(わり)以上小さくなります。このような違いは目ではまず気付きませんが、月の写真を同じズームの倍率(ばいりつ)でたびたび撮(と)れば、大きさの変化が分かります。
また、目で分かる変化としては満月の見える高さがあります。それは季節によって決まっていて、夏の満月は低く、冬の満月は高くなります。地球の回転軸(かいてんじく)の傾(かたむ)きが原因(げんいん)で、冬至(とうじ)のころは、太陽が正午ごろ南の空に低く見えるのに対し、太陽の反対側にある満月は真夜中に南に来たとき、夏至(げし)の日の太陽の位置あたりに高く昇(のぼ)ります。
今年の冬至12月22日に近い19日の満月は一年で最も高く見える満月となり、山陰(さんいん)からだとおよそ80度の高さになります。これは地平線から見上げた角度で、真上が90度ですから、その夜はほぼ空のてっぺんに満月が輝(かがや)きます。
ほかには模様(もよう)の見え方が微妙(びみょう)に違うなど、満月ごとに異(こと)なる特徴(とくちょう)があるのです。
◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)
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