南アフリカで確認された新たな変異ウイルスの動向に注目が集まっている。WHOは11月26日、この変異ウイルスを「オミクロン」と呼ぶことを決定。あわせて「VOC(懸念される変異ウイルス)」に指定した。オミクロンの感染者が11月27日時点で確認されているのは南アフリカ、ボツワナ、香港、ベルギー、イスラエルだ。日本政府は26日、南アフリカなど6つの国(南アフリカ、ナミビア、ジンバブエ、ボツワナ、レソト、エスワティニ)からの渡航者への水際対策強化を決定。注視を続けている。現時点では不明な点が多いオミクロン。なぜこれほど注目を集めているのか、ウイルス学の専門で米国立研究所の研究員を務める峰宗太郎さんに話を聞いた。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】
なぜオミクロンに注目が集まるのか
ーーそもそも、なぜ南アフリカで確認されたB.1.1.529(オミクロン)にこれほどの注目が集まっているのでしょうか? 大前提としてアフリカという地域ではウイルスのサーベイランスが十分にはなされていません。症例全体の数%程度を調査・分析している状態です。 そうした中で、約2週間前に発見された変異ウイルスであるオミクロンが一部の地域で急速に広がっていることが確認されました。 これまで南アフリカで流行していたデルタを上回る勢いで増加しているため、「デルタよりも伝播性が高い可能性がある」との指摘が上がっています。これが注目されている一つの理由でしょう。 ウイルスがこれまで以上にヒトからヒトへ広がりやすい、つまり伝播性が高いとなると新たな大きな流行へとつながる可能性があります。 そして、もう一つの理由としては、ウイルスの感染のしやすさに影響するスパイクタンパク質の中にも32ヵ所の変異があることがあります。オミクロンの変異の「多さ」は目立ち、注目されることになっています。 《※スパイクタンパク質:ウイルスの表面に存在する突起のこと。この突起がヒトの細胞の表面にある「ACE2」という分子とくっつくことにより、ウイルスが細胞の中に入り、「感染」が引き起こされる》 一部の特殊な感染例からこうした変異が生まれたのか、それとも流行状況がかなり悪い中で変異が蓄積していったのか、オミクロンが発生してきた経緯は不明です。 これらの変異が感染性(感染しやすさ)や伝播性(広がりやすさ)などへ影響を及ぼしている可能性があるため、注目が集まっています。 ですが、強調しておかなければいけないのは、初期の段階で注目を集めているからといって、本当に感染性や伝播性に重大な変化が見られるとは限らないということです。 南アフリカで以前発見された「ベータ(B.1.351)」についても、当初は大きな関心が集まりました。免疫逃避の性質が恐れられましたが、伝播性はそれほど高くなかったこともあり、結果としてはデルタに駆逐されています。 あるいはイギリスで拡大した「アルファ」についても、ボリス・ジョンソン首相が「感染性が70%上がっている」とのメッセージを公に発信しましたが、蓋を開けてみれば感染性は10-20%程度しか上がっておらず、これもデルタに置き換わって流行は収束しました。 つまりウイルスの変異に関する話題は空振りに終わる可能性も少なくありません。 もちろんデルタの例のように大きな影響を与えることはありますので、警戒をすることは悪いことではない。しかし、個々人の対策も変わらないことを踏まえると現時点で騒ぎすぎる必要もありません。
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