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Thursday, July 29, 2021

危険度最も高いウイルスを研究 BSL4施設が30日完成…長崎大 - 読売新聞

 危険度の最も高い BSL4 のウイルス研究ができる施設が30日、長崎大学(長崎市)のキャンパス内に完成する。来年度以降の稼働を目指しており、同大は「世界に役立つ研究ができる」としている。

 施設ではウイルスの特性を解明するほか、感染から発症までのメカニズムの分析、ワクチンや治療薬の開発などを行う。

 国内では、同種の施設として国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)の1か所で稼働している。ただ、感染研は感染症が発生した際の検査や診断はできるが、自治体との合意によって、ウイルスの特性を解明するための基礎研究などは行われていない。

 人や物の往来が活発化し、感染症対策の強化が国際的に進む中、同大は2010年、施設設置に向けて検討を開始。国は16年、同大への施設整備を支援する方針を決めた。

 施設は鉄筋コンクリート5階建て(延べ床面積約5200平方メートル)。実験室は、ウイルスが漏れ出ないように室外よりも気圧が低い構造で、排気設備には高性能フィルターを使用、排水は熱で滅菌する。

 同大では、実験機材を搬入した後、BSL3以下の病原体の実験を先行して行う方針。その後、厚生労働省から指定を受け、BSL4のウイルスを扱っていく。河野茂学長は29日の記者会見で、「新興感染症は次々と見つかっており、施設では、そうした病原体の研究がいち早く行える。世界最高水準の安全性を持つ研究施設の整備を確実に進めていく」と話した。

 施設建設を巡っては、近隣住民から不安の声も上がる。地元住民らでつくる「BSL4施設計画の差し止めを求める会」はこの日、施設を稼働しないよう求める申し入れ書を大学側に発送した。山田一俊代表(74)は「原発でも想定外の事故が起きた。街の中に、どうしてこのような施設をつくるのか」などと話した。

BSL4  世界保健機関(WHO)が危険度に応じて定めた4段階の病原体のうち、「安全管理レベル(Biosafety Level)」が最上位のレベル4を指す。日本では感染症法に基づき、エボラ出血熱など6種類は、BSL4施設でなければ取り扱えない。新型コロナウイルスは、レベルが一つ下のBSL3の施設でも扱える。

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