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Wednesday, June 23, 2021

米不法入国の子どもたち、劣悪な環境で生活 関係者らBBCに語る - BBCニュース

Image of inside of tents

中南米からメキシコ国境を越えてアメリカに入国した子どもたちが、テキサス州の砂漠地帯にある収容施設で劣悪な環境に置かれている状況が、BBCの取材で浮かび上がった。施設内では病気がはびこり、食べ物は安全ではなく、性虐待の報告も出ている。

テキサス州エルパソの米軍基地フォート・ブリスには3月以降、大型テントが12以上張られ、2000人を超える10代の子どもたちの一時的な住居となっている。

メキシコから国境を越えて単独でアメリカに入った子どもたちがここで、米国内にいる家族との合流を待っている。

この施設のスタッフらの話からは、保健衛生状態のひどさが浮かび上がった。

あるスタッフは、「何百人もの子どもたちが新型ウイルスの検査で陽性判定を受けた」と話した。

病気にかかった子どもたち専用のテントもいくつか張られており、子どもたちは「COVIDシティー」と呼んでいるという。

新型ウイルス感染症のほか、インフルエンザや連鎖球菌性咽頭炎にかかる子どもも出ている。

救急対応が必要な子どもが放置されるケースもあるという。

Image from inside one of the camp tents

BBCが入手した5月のスタッフ会議の秘密録音には、スタッフの1人が吐血した男児について、「『彼を昼食の場所に送る』とあの人たち(別のスタッフ)が言っていた」、「誰かに診てもらうまで3時間半待った」と話す様子が記録されていた。

38日間の拘束後に解放され、BBCの取材に応じた少年(15)は、収容施設に到着後まもなく新型ウイルスに感染し、重症に陥ったと話した。回復後、混雑した場所に戻され、再び病気になったという。

「薬が欲しいと言うと(スタッフたちに)いやな顔をされた。あの人たちはいつも仲間内で笑っていた」

スタッフの1人は、「シラミがはびこっていた」と話した。少女800人近くが拘束されていたテントは先月、シラミが原因で閉鎖されたという。

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Children at the camp

食事や衣類も

食事の劣悪さもうかがえる。

施設スタッフは、子どもに提供されている食べ物はほとんど食事に適したものだとBBCに述べた。しかし、かつて施設にいた少年(15)は、未調理の肉が出されたと話した。

「鶏肉にはたまに血がついていたし、肉はとても赤かった。でも飢えていたのでそれを食べ、具合が悪くなった」

衣類も不十分なようだ。スタッフによると、下着などの衣服や靴が足りないという。

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スタッフの1人は、「子どもがここに来て数日たつと、『我慢できない、今すぐ出してほしい』と言い出す」、「子どもたちは刑務所にいるような気分になる」と話した。

別の女性スタッフによると、砂漠に強風が吹きつけて砂がテント内に入り込み、中にいる人全員が全身砂だらけになることもあるという。

シャワーは設置されているが、多くの子どもは清潔な着替えがないため、浴びようとしないという。

性虐待の報告

スタッフが子どもたちを性的に虐待しているとの報告もある。

スタッフの1人が研修の様子をこっそり録音し、BBCが提供を受けた音声データには、「未成年と不適切に関わったスタッフをすでに捕まえている」という発言が記録されている。

別のスタッフによると、米国土安全保障省(DHS)から施設スタッフに対し、レイプに関する話があったという。

「DHSはレイプがあったと言っていた。少女たちに妊娠検査具を渡していている」

「この前の夜、契約スタッフが男の子たちのテントで捕まったと聞いた。男の子と何かしていたらしい」

Image from inside one of the tents

スタッフによると、多くの子どもがうつ状態になり、自傷行為もみられるという。

前出の15歳の少年は、家族に二度と会えないと絶望し、自殺を企図したこともあったと話した。

施設の取材は認めず

収容施設の運営支援を民間企業に委託している米保健福祉省(HHS)は、透明性を重視していると話すが、BBCが施設を取材するのは認めなかった。

Fort Bliss sign

画像提供, Getty Images

BBCが取材でつかんだ劣悪な状態について質問すると、個別の回答は避けた。一方で、「清潔で快適な寝場所、食事、トイレ、選択、教育や遊び、医療へのアクセスなど、子どものケアに関して求められている基準は満たしている」とする声明を発表した。

アメリカには、暴力や自然災害、新型ウイルスのパンデミックに関連した経済苦境などから逃れようとする人々が、中南米から米国境へと押し寄せている。今年になって、その数は昨年の2倍近い100万人以上に達している。

ジョー・バイデン政権になり、移民の受け入れが緩和されるとの期待感が増していることも、国境を越えてアメリカに入る人の増加につながっていると指摘されている。

不法に入国した大人は強制退去させられるが、バイデン政権は子どもが残ることを認めている。そうした子どもの約8割はアメリカに親類がいるが、合流は簡単にはできない。

HHSは今年に入って、それらの子どもの増加に対応するため、フォート・ブリスにあるものを含め、いくつかの収容施設を設置した。

現在、子どもたちは平均で31日間、HHSの施設に拘束されている。1月にバイデン政権が発足した当時は平均40日間だった。

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