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Friday, January 22, 2021

安い高いの差は? 安くても大丈夫? 節約できる!? 車検で損しないための基礎知識 - ベストカーWeb

 クルマを維持していくうえで大きな出費を伴うのが車検です。乗用車(普通・小型、軽)の場合は、初度登録後最初の車検が3年後で、その先は2年ごと。商用車の場合は初度登録後最初の車検が2年後、その先は、普通・小型車が1年ごと、軽自動車が2年ごとです。

 商用車(4ナンバー、1ナンバー)というとトラックやダンプなどを想像しがちですが、ハイエースのバンやプロボックスのバンなども商用車に含まれます。

 8ナンバー登録したキャンピングカーは、初回から2年ごとの車検となります。

 その車検ですが、法定費用はどこでも同じなのに、安いところもあれば高いところもあります。業者が不当に利益をむさぼっているだけなのでしょうか? それとも高い安いの差がつく正当な理由があるのでしょうか?

 価格差の要因、安い車検を有効活用する方法、車検代を節約する方法などについて考察していきます。

文/諸星陽一
写真/TOYOTA、NISSAN、HONDA、SUZUKI、DAIHATSU、平野学、ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(buritora-stock.adobe.com)

【画像ギャラリー】乗用車と商用車だけの違いではない!! ナンバーによって違う車検期間をくまなくチェック

■車検はクルマが正常な状態にあるか検査

軽自動車の車検も普通車と同じで、新車購入後の初回車検が3年、その後の継続車検が2年ごととなっている。ちなみに今では国内でほとんど見かけないが、ピアッジオ・Apeなどのいわゆるオート三輪は初回も継続も2年だ

 ところで車検とは何でしょう? 車検のことをディーラーにクルマをあずけて、点検整備して、オイルや消耗品、不具合のある部品(もしくは不具合の出そうな部品)を交換すること……と思っている人もいるかも知れませんが、それは違います。

 車検はクルマが正常な状態かどうかを確認して検査することです。

 本来は国土交通省管轄の運輸支局や自動車検査登録事務所(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)で行いますが、世の中に走っているクルマすべてがこうした公的機関に集まってしまうと、さばききれなくなるのは明白。

 そこで、民間でも車検を行える設備を備えた自動車整備工場を「指定整備工場」として認可して、車検が行えるようになっています。指定整備工場は民間車検場と呼ばれることもあります。

 この先は、国土交通省管轄の運輸支局、自動車検査登録事務所、軽自動車検査協会を公的車検場、指定整備工場を民間車検場という表現で原稿を進めます。

■手数料の有無で金額は大きく違う

車検証見本。正式名称は自動車検査証と言い、自動車の運転中はこれを常時携帯している必要がある。車検を受けるごとに新たな車検証が発行され、更新される

 一般的な乗用車で車検に必要な最低限の費用は次のものです。

・検査手数料:1700円(3ナンバーは1800円、軽自動車は1400円)
・自賠責保険料:3万170円(24カ月)
・自動車重量税:重量や増減税によって異なる

 このうち自動車重量税以外は固定で変わりありません。たとえば、2019年登録のトヨタC-HRの場合は、最初の車検での自動車重量税はガソリン車が2万4600円なのに対し、ハイブリッドは減税されて0円です。

 もし、何の不具合もない状態で、消耗品も減っていない、不具合部分もなく、自分で公的車検場に持ち込むと、1800円+3万170円の3万1970円で車検を通せます。

ハイブリットカーの様な燃費のいいクルマは減税を受けられるあめ、車検費用も安く抑えられる

 しかし、自分で公的車検場に行くのはどうも難しそうだ……というユーザーも多く、そのような場合に業者を利用することになります。業者の場合は、利益を出さないとならないため、手数料などが掛かります。

 民間車検場の場合は、自社工場で検査を行います。このため公的車検場のように1700円や1800円で検査は行いません、最低でも1万5000~2万円程度の費用が必要で、これが基本料金となります。

 自動車ディーラーなども多くは民間車検場となっています。ディーラーの場合は基本料金が7万円以上などで設定されていることも多くあります。

■パーツの価格も千差万別

民間車検場ならや認証工場なら、ユーザー自身で陸運局まで車両を持ち込まずに車検を行える。ただし、直接陸運局に持ち込むより車検委託手数料分の費用負担が発生する

 民間車検場ではない自動車整備工場は認証工場と呼ばれます。認証工場に車検を依頼すると、自社工場で整備を行って公的車検場に持ち込んで検査を受けます。認証工場でも公的車検場に持ちこんだ際に必要な費用は同じです。

 これでは利益が発生しないので、手数料が加算されてやはり最低でも1万5000~2万円程度が基本料金となります。

 しかし、これだけではなかなかすまないのが実状で、さまざまな部品の交換をすすめられます。自動車の部品交換に必要な費用は、部品代+工賃で構成されています。ここがポイントです。

 ディーラーでの車検の場合に使われる部品は、純正部品もしくは準純正部品となります。このため価格は高いのですが、部品そのものの信頼性は高いものとなります。この部品を純正ではなく、価格の安いものにすれば、ある程度費用は下げられます。

 たとえば、純正で1万2000円程度するフロントブレーキパッドが、社外品では10分の1の1200円くらいで販売されていることもあります。

 この安いパッドを業者が仕入れてきて、交換して部品代を5000円で請求された場合、業者の儲けは3800円です。

事例となっているブレーキは奥が深い。更には人命に関わる事故に直結する部品なので、安易に安い部品を使うと自他ともに危険を及ぼす。よほど部品選択に自信がある人以外は、純正品以上のブレーキパッドを使用すべきだ

 いっぽう、純正で1万2000円のブレーキパッドの仕入れ額が7割の8400円の場合、業者の儲けは3600円ですから業者としても儲けが大きくなります。

 お客さんとしては、部品代で7000円の節約ができるというわけです。1万2000円と1200円のブレーキパッドにどれくらいの性能差があるかは明確ではありません。場合によってはほとんど変わらないこともあるでしょうし、大きく変わることもあるでしょう。

 純正品やブランド品は品質が保証されていることが魅力で、その保証に対して対価を支払うのです。

■大きな会社ほど車検費用が高い!?

 さらに部品を交換する際は工賃が必要です。自動車の整備工賃は時間工賃といって、業者ごとに定められていることが一般的です。

 たとえば1時間あたり1万円の業者もあれば、1時間あたり7000円の業者もあります。上で例にしたブレーキパッド交換の作業時間が1時間だとすれば、A社に頼むと工賃が1万円、B社だと7000円となるわけです。この差も車検の費用に影響してきます。

 一般的に大きな会社ほど車検費用は高くなる傾向にあります。大きな会社はさまざまな部門があって、その部門の人のすべてに給料を支払わなくてはなりません。しかし、小さな整備工場などでは基本の業務は整備で、たまに新車や中古車を売ることもある……という感じです。家族経営の整備工場などは一般的に安価なことが多く見られます。

■NOと言えるかどうかが分岐点

エンジンオイル交換は、整備工場に限らずカー用品店でも行える。自分のクルマに合っているオイルを選択できるなら、地域で一番安いお店に頼んだり、何なら自分で交換するのもアリだ

 安い業者を選ぶ際に技術レベルを知ることは難しいですが、交換する部品はどのような部品を使うのかを確認することはできます。

 自動車の部品には、純正品、準純正品、純正同等品などさまざまなものがあります。

 準純正品というのは自動車ディーラーでも使われることがあるものです。純正同等品というのは純正部品を収めている部品メーカーが自社ブランドで販売しているものなどがそれにあたります。

 車検を依頼する前に、どのような部品を使うのかを確認しておけば安心です。

 また必要な部品以外に交換をすすめられた場合、それを適切に断れるか? ということも大切でしょう。

 たとえば、「オイル交換をしないとなりません」と言われ、その費用が高額な場合などは自分で別の業者に依頼するようにしましょう。

 こうしたときに、「オイル交換は別で行うのでけっこうです」としっかり言えることが車検費用を抑えるコツです。

 ヘッドライトの黄ばみなども進行していると車検に落ちることがあります。ディーラーだと交換と言われるものが、一般的な整備工場だと磨くことで車検合格レベルにしてくれることもあります。

 これもDIYで行えば、ケミカル類を購入する費用程度ですませられます。ただし労力は自分持ちです。 

ヘッドライトの黄ばみ取りは、DIYに挑戦しやすい作業のひとつだ。ただし薬剤がボディを傷付ける可能性があるので、ヘッドライトから垂れないように細心の注意をしよう

【画像ギャラリー】乗用車と商用車だけの違いではない!! ナンバーによって違う車検期間をくまなくチェック

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