安倍晋三首相は2012年末の政権復帰以降、「地球儀を俯瞰[ふかん]する外交」を掲げて外遊を重ねた。旧民主党政権時代に揺らいだ日米同盟関係の修復には成功。外交・安保の司令塔となる国家安全保障会議(NSC)を創設するなど政府内の体制強化も実現した。
しかし、北朝鮮による日本人拉致問題やロシアとの北方領土返還交渉など「戦後外交の総決算」と位置付けた課題は、従来の政府方針から転換を図ったにもかかわらず解決できなかった。
7年8カ月という長期政権の間に、首相が多くの首脳と親交を重ね、個人的関係を築いたことは間違いない。ただ、それに見合う十分な成果を残せたかは疑問だ。
13年1月、首相は政権復帰直後の所信表明演説で日本人拉致問題解決への意欲を強調。「対話と圧力」によって全被害者の即時帰国を目指すと明言した。被害者の家族らも大きな期待を寄せた。
首相は米国にも助力を頼み、トランプ大統領は2度にわたる米朝首脳会談で拉致問題を提起した。しかし、その後も事態は動かなかったため、首相は19年5月、条件を付けずに北朝鮮の金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長との会談を目指す考えを表明。拉致問題の解決を前提としてきた従来の方針を覆した。それでも、北朝鮮の姿勢に変化の兆しはうかがえない。
北方領土を巡るロシアとの交渉も、プーチン大統領と会談を重ねるなどして局面の打開を図ったが思うように進まず、方針転換を余儀なくされた。首相は18年11月、日ソ共同宣言を基礎とする平和条約交渉を提案。4島一括返還ではなく、同宣言に記された「歯舞群島、色丹島の日本への引き渡し」で領土問題の決着を目指すことになった。だが、ロシア側は様子見を続けている。
日米関係も、手放しで成功したとは言い難い。首相はトランプ氏とは特に親しい関係を築いたが、国際的な枠組みを軽視して「米国第一」を貫くトランプ氏の行動を抑えることはできなかった。
中国との関係では経済を重視して協調路線に転じたが、米中の対立は深刻さを増しており、板挟み状態がさらに厳しくなる可能性もある。韓国との関係でも、朴槿恵[パククネ]政権時代に実現した慰安婦合意は文在寅[ムンジェイン]政権で白紙化され、元徴用工問題も加わって状況は急速に悪化している。
次の首相は知名度や関係の深さで見劣りするというハンディを抱えながらのかじ取りとなろう。就任後は拉致や北方領土など未解決の課題をはじめ、在日米軍駐留経費(思いやり予算)を巡る日米交渉なども待ったなしだ。米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が勝利すれば、米国の外交・安全保障政策が大きく変わる可能性もある。
安倍外交をそのまま継承するのか。それとも戦略を見直し新たな突破口を探すのか。難しい判断を迫られることになりそうだ。
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September 04, 2020 at 05:11AM
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外交 関係築くも成果は不十分 | 社説 | コラム - 熊本日日新聞
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