サッカー男子独自の五輪ルール
2016年リオデジャネイロ五輪、ブラジルのマラカナン競技場で行われたサッカー男子決勝。スター選手のネイマールがPKを決めて母国を優勝に導き、ピッチで涙したのは、前回大会の名シーンの一つだ。当時、ネイマールは24歳。年齢制限のないオーバーエイジ(OA)枠での出場だった。
五輪で年齢に上限のある競技・種目はまれで、サッカー男子には固有の経緯があって上限が設けられている。原則23歳以下(U23)だが、21年に延期された東京五輪では、国際サッカー連盟(FIFA)が年齢の上限を24歳に引き上げることを決めた。ワールドカップ(W杯)などにはない「五輪ルール」。その経緯やコロナ禍の影響とともに日本の戦い方を考えてみる。
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現行通りU23だと、日本でいえば、1997年生まれの中山雄太主将(ズウォレ)や板倉滉(フローニンゲン)、前田大然(横浜M)らが外れ、他国でもその年代で固めたスペインなど、チームの根幹から見直す必要を迫られた。代表候補の小川航基(磐田)は「ありがたいし、モチベーションが上がった」と素直な心情を明かした。ほかにも、上限引き上げでほっと胸をなでおろした選手は多いだろう。
そもそも、なぜサッカー男子に年齢制限があるのか。この背景には、統括団体のFIFAと国際オリンピック委員会(IOC)の対立がある。
もともと五輪はアマチュアの大会で、第2回近代五輪の1900年パリ大会から実施されているサッカーも当然そうだったが、IOCは74年に五輪憲章から「アマチュア」の言葉を削除し、84年のロサンゼルス大会からプロ解禁に舵(かじ)を切った。IOCはサッカーにも、プロの一流選手が集って競い合うようにと求めたが、FIFAは反発。ワールドカップ(W杯)だけが純然たる世界一を決める大会だとして、W杯の権威を保つことを優先した。
88年のソウル大会はW杯経験がないことを条件とし、他の制限は設けずに出場を認めたが、92年のバルセロナ大会から23歳以下とする年齢制限を設けた。かつてU23は育成年代だったことが、「23歳」の根拠だが、現代サッカーは20歳前後で既にフル代表に入る選手も増えた。FIFAは2009年に五輪の年齢制限を21歳以下に引き下げることを検討するなど、五輪には非協力的だ。
一方で、女子に年齢制限はない。女子はW杯の規模がそれほど大きくないこと、男子ほど普及が進んでいないことなどから、FIFAは制限を求めていない。
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August 16, 2020 at 05:20AM
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