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Saturday, August 15, 2020

「戦前から経済成長、中韓関係」近現代史 学ぶ時間少なく入試優先 - 西日本新聞

平和学習(2)

 75年前の大戦から現代に至る過程を学ぶ歴史の授業。戦争と平和について考える機会でもあるが、受験勉強に追われる高校ではどのように実践しているのだろうか。福岡県内の男性教員(40代)に聞いた。

 この高校が日本史の授業で採用しているのは、山川出版の教科書。原始時代から現代までが400ページ超にまとめられている。

 近現代史のうち、太平洋戦争の前後から占領下を経て、高度経済成長へと続く分野は例年秋ごろに学習する。約50ページを6~8回の授業で終えるという。

 「できるだけ教科書を早く終えて、入試対策の演習に取りかかりたい時期」と男性教員。一つ一つの事象の背景や是非について生徒が考える機会も必要だとは思うが、現実にはそんな時間はないという。

 生徒の姿勢も拍車を掛ける。「どこが試験に出ますか」。気にするのはテストのことばかり。そんな傾向は、少なくとも過去20年来変わっていないという。「授業が入試にとらわれている」とため息をつく。

 近現代史は「複雑で分かりにくい」という側面もある。

 日本史の中で教室が最も盛り上がるのは、テレビドラマやアニメの舞台にもなり、生徒にも比較的なじみがある戦国時代と幕末。戦国時代では、上杉謙信といった武将の盛衰をたどっていけば時代背景と一緒に理解しやすいのだという。

 一方、戦争など国家間の利害が絡み合う近現代史は「主な登場人物を追うだけでは時代背景を理解できない」。経済事情や国際関係など複雑な要素を把握しなければ全体像はつかめない。

 男性教員は教えながら「試験があるから、嫌々学んでいるのではないか」という思いも頭をよぎる。これまで勤務した高校の中で、近現代史が好きという生徒は記憶にない。

 インターネットの中では、中国や韓国の対日政策を批判したり、そうした内容をさらに批判したりする書き込みもあるが、目の前の生徒の理解がそこまで及んでいるとは思えない。

 「大学入試を突破すれば、勉強しないという風潮はおかしい」。戦争や平和の本質について考える以前で授業がとどまった結果、卒業後は学習内容をさっぱり忘れてしまう生徒がいることを懸念する。

 九州のある私立大で教える男性教授は昨年、新聞の1面にあるコラムのコピーを学生に配り、選択肢の中から筆者の主張に合う正答を一つ選んでもらった。最も多くの学生が選んだのは不正解だった。

 「高校までテスト対策一辺倒だった弊害だろう。自分で読み解き、どう解釈するかではなく、単に答えを求める学びが染みついている」

 男性教授は別の典型例として、大学入試での面接を挙げる。自分の考えを練り上げるのではなく、単に記憶した模範解答を述べるケースが目立つという。

 ある時、宙を見ながらまくし立てる受験生に「よく覚えてきたね」と皮肉交じりに語り掛けた。「はい、勉強してきました」と胸を張る受験生。男性教授は苦笑いするしかなかった。

 福岡県内で日本史を教える高校教員の男性(50代)は「いろいろな見方を学んでいく中でこそ、自分の考えが持てるのは分かっているんだけど」と話す。

 自身も戦争に関する手記を読み、新聞やテレビの報道に触れる中で歴史に関する理解を深めてきた。ただ授業では教科書を使って全体の流れを追っていく以外に、特定の事象を深める時間はない。

 目の前の入試対策と、授業を機に考えてもらいたい戦争と平和-。少なくない教員がこのジレンマに陥っているようだった。 (編集委員・四宮淳平)

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