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Sunday, July 5, 2020

社会に与える影響にサイズは関係ない ナノのチカラで社会に貢献 - SankeiBiz

 【理研が語る/科学の中身】

 新型コロナウイルスが社会、経済に大きな打撃を与えている。ウイルスは目では見えないため、とても厄介である。どのくらい小さいかというと、100ナノメートルというサイズで、髪の毛の太さの1000分の1くらいしかない。ナノの世界に住む目に見えない存在が、私たちの生活を大きく脅かしているわけで、社会に与える影響にサイズは関係ないことがよく分かる。

 私は「DNAオリガミ」というナノの技術を駆使して、生命の理解や病気の診断、新しい治療法の開発につなげ、社会に貢献しようと日夜励んでいる。

 DNAは、細胞の核の中におさまっている遺伝子の実体となっているひも状の物質であるが、このひもを自在に編み込んでシート構造を作り、さらに折り紙のように折りたたむことで、ちょうどウイルスと同じサイズのナノ構造物を作ることができる。

 いろんな形を作って眺めるだけでも楽しいが、単なるナノサイズのおもちゃではなく、例えばDNAオリガミでウイルスサイズの箱を作って、その箱の中にがん細胞を殺す薬を入れておくこともできる。この箱は、がん細胞にくっつく時だけ箱が開いて薬が放出されるように細工してあるので、正常な細胞は傷つけずにがん細胞のみを殺せるナノマシンとして働く。

 また、DNAで世界最小の人工バネや人工筋肉を設計し、ナノの世界における機械的な力を計り、どのように力が発生するか調べる手法も開発してきた。

 私たちは肩がこると、揉むことで症状を緩和させるが、ミクロな細胞の世界でも、押したり引っ張ったりして力を加えることで、正常な細胞活動が維持できるようになる。

 未分化の細胞が分化していく過程や、臓器が形作られていく過程でも機械的な力は重要な役割を担っており、生命現象の物理的根幹をなす。

 こうした事情から、ナノ・ミクロの世界で働く力を「見える化」する技術開発がとても大事になるのだが、その技術はまだまだ不足しているのが現状である。

 そこで、私の開発したDNAバネを光らせて細胞表面の特定の分子にくっつくように細工を施し、光学顕微鏡で観察すると、バネが伸びたり縮んだりするのが観察される。

 まるで細胞の上で踊っているようで、見ているだけで楽しくなるが、その踊り方を見て力の大きさや向きが分かる。このようなバネや開閉する箱の機能は単体では限られているが、様々なナノサイズの部品を組み合わせることで複雑な機能を兼ね備えたナノロボットを作ることも可能であり、これらのナノロボットが近い将来に社会で活躍する日を夢見ている。

 岩城光宏(いわき・みつひろ) 宮崎県出身。理研生命機能科学研究センター・副チームリーダー。大阪大学大学院生命機能研究科招へい准教授併任。ハーバード大にてDNAオリガミを学び帰国後、生命の研究へ応用している。宮崎の海と動物をこよなく愛している。最近はできていないが、テニスが趣味。

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