経済産業省の外局である中小企業庁の前田泰宏長官が米国で開いたパーティーに電通関係者が出席していた問題で、同省は「法に違反していない」として前田氏を処分しない考えを示した。ただ、この関係者が理事を務める一般社団法人は持続化給付金事業のほか、パーティー開催前後に同省の事業を4件受注している。調査もせずに幕引きを図るのは早計ではないか。 (石井紀代美)
「今となっては軽率だと思うが、そういう名称になった。ちょっと反省している」。十二日の衆院経済産業委員会で、前田氏はこう釈明した。
前田氏が弁解するのは、米テキサス州で知人が借りたアパートの一室が「前田ハウス」と名付けられたこと。経産委でのやりとりによると二〇一七年三月、現地であった世界最大級のビジネスイベントを公務で訪れた際、前田氏はここに寝泊まり。夜は酒食を伴う百人規模のパーティーを開き、当時電通の社員で、以前から知り合いだった平川健司氏も参加した。
平川氏は一六年五月以降、電通などが設立した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会(サ協)」の理事も務めている。サ協は一六年六月〜一八年二月、経産省から「おもてなし規格認証事業」など総額六百億円に上る四つの事業を受注している。発注者はいずれも、同省商務情報政策局サービス政策課。前田氏はこの間、同局担当の大臣官房審議官に就いていた。
持続化給付金も前田氏がトップの中小企業庁が発注しており、疑念がふくらんでいる。にもかかわらず梶山弘志経産相は十二日の経産委で「誤解を受けるような行動は軽率」としながらも「国家公務員倫理規程には違反しないと聞いている」とし、法的な問題はないとの認識を明らかにした。
国家公務員倫理法は、利害関係者との付き合いに厳しい基準を設けている。同法の倫理規程では、金銭や物品の贈与、接待を受けるのは禁止。割り勘でもゴルフ、旅行は許されない。「一般の人が見れば、職務の執行の公正さに疑問を持つ」(国家公務員倫理審査会のホームページ)からだ。
元経産官僚の古賀茂明氏は、前田氏の担当部署の事業をサ協が受注していることから「平川氏は紛れもなく利害関係者」と指摘。倫理規程にパーティー禁止の文言はないものの「公務員が、利害関係者が参加するパーティーを自ら開くような行為は許されない」(古賀氏)。
同法ができたのは、一九九八年の旧大蔵省の接待汚職事件がきっかけ。国民の信頼回復には既存の措置だけでは不十分との理由からだった。今回も国と電通など一部企業の蜜月ぶりが次々に明らかになり、国民の信頼は失われつつある。
元厚生労働官僚の中野雅至・神戸学院大教授(行政学)は「法に反しないと言い切るのなら国は徹底的に調査し、疑念を晴らさないといけない」と強調する。
古賀氏も「前田氏と平川氏の関係だけでなく、経産省と電通の癒着の構造まであぶり出すべきだろう。そうしないと持続化給付金のような重要事業がうまく進まなくなり、社会の混乱を招く」と語った。
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