日向坂46の一期生・齊藤京子。愛らしいルックスとは裏腹に、低音ボイスを併せ持つギャップが印象に残るメンバーだ。芸能界へ憧れながらも、中学から高校にかけてオーディションに落ち続けた彼女が、最後の望みを託したのが現在のグループだった。ストイックさもにじむ彼女が、内に秘めていた思いとは。グループ初のドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』(公開調整中)に先駆け、たどっていきたい。
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■元AKB48・大島優子に憧れて芸能界を志す
今年1月、彼女たちの主演ドラマ『DASADA』(日本テレビ/2020年1月期)のインタビューで話を聞いた際、真剣なまなざしで自らの思いを語っていた齊藤。その姿はステージやテレビで笑顔を浮かべる彼女と比べて、大きくギャップを感じられるほどだった。
女性ファッション誌「ar」(主婦と生活社)の専属モデルとしても活躍する彼女は、持ち前の歌唱力と共に、独特な声質を生かした歌声への評価も高い。
中心メンバーとしての活躍も目立ち、昨年2月に改名したグループの前身・けやき坂46時代には、姉妹グループにあたる欅坂46の5thシングル「風に吹かれても」に収録の「それでも歩いてる」や「NO WAR in the future」でセンターも経験。加入初期から「ラーメン大好き! 齊藤京子です」と自称するも、テレビ番組では料理下手な一面を見せるなど、多々あるギャップが記憶に強く焼き付く一人でもある。
先述の『DASADA』に関するインタビューで、アイドルになる前は「誰もが想像する女子高生そのものだったと思います」と青春時代を振り返っていた彼女。放課後には「友達とプリクラを撮ってカラオケに行ったり、それからファミレスで『あの授業大変だったよね』とか、他愛ない会話を毎日のようにしていました」と明かしていたが、実は、それ以前から芸能界に強く憧れを抱いていた。
グループの歩みをたどった書籍『日向坂46ストーリー』(集英社)では、彼女がステージへ憧れるようになった経緯が明かされている。
幼少期から夢描いた世界への思いが、強まったのは中学時代。元AKB48・大島優子のパフォーマンスに心打たれた彼女は、積極的にオーディションを受け始める。しかし、現実はそう甘くはない。結果は実らぬまま、高校3年生を迎えた彼女は「もう芸能人になる夢は諦めよう。これからは普通の高校生活をして、進学に備えよう」(※1)と決意した。
■高い“プロ意識”で努力し続けるアイドル
一度は芸能界への道を諦めかけた齊藤であったが、大きな転機が訪れたのは高校3年生の秋。かつて同じレコード会社のオーディションで知り合った今泉佑唯(当時、欅坂46のメンバーで2018年にグループを卒業)をテレビ番組で見かけた彼女は、のちに姉妹グループとなるけやき坂46のオーディション開催を知り「どうせ落ちるならこれを最後に挑戦してみよう」(※2)と奮起した。
そして、彼女はようやくアイドルとしてステージへ立つ切符を手に。しかし、目標はさらに先にあった。胸の内では「この世界に入れたんだったら、中途半端はいやだ。私は絶対に有名になりたい。ひらがなが漢字のアンダーグループなんだったら、ひらがなのなかで一番頑張って選抜の漢字メンバーになろう」(※3)と野心を秘めていた。
そこからにじむのは、彼女ならではのストイックさ。グループの改名前に「“けやき”っていう言葉がついてる限り、世間の人からは『本物の欅坂じゃないグループ』って思われる」(※4)と俯瞰(ふかん)していたというエピソードからも、持ち前のプロ意識の高さが垣間見える。
先述した『DASADA』のインタビュー時、改名を経た今では「自分たちしかいないし、自分たちだけで歩いていかなければという責任感」が芽生えたと語っていたが、今なお初心を忘れない。握手会で一度見たファンの顔を忘れない。グループの公式アプリを通して精力的にメッセージを送ってくれるといった評価も、彼女ならではの姿勢をよく表している。
こうした振る舞いの背景には、おそらく「強く憧れていた世界へ意地でも食らいついてやる」という思いがあるのかもしれない。彼女の抱く覚悟は、さらなる高みを目指すグループの原動力になっているはずだ。(文:カネコシュウヘイ)
※1『日向坂46ストーリー』P64 ※2『同』P67 ※3『同』P68 ※4『同』P330
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May 04, 2020 at 05:30AM
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