世間一般には高学歴ほど就職は容易で、また失業もし難いとのイメージがある。そのイメージが確かなものかを確認するデータの一つが、総務省統計局が毎年発表している労働力調査。その最新年次平均値となる2019年分が先日発表された。今回はその値などを基に、学歴別の失業率の実情を、男女別に確認していく。
「完全失業率」とは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出される値。そして総務省統計局では「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「調査週間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)」の3条件すべてに当てはまる人を「完全失業者」と認定している。現在失職中で仕事があればすぐに従事することが可能だが、仕事を探そうとはしていない人は完全失業者には該当しない。
まずは全体の変移。
グラフを見る限りでは2009~2010年以降わずかずつだが、完全失業率は改善の方向に向かっている(減少している)。今回発表された2019年分では短大・高専で前年比で悪化したものの、全学歴において金融危機ぼっ発直前の最良値と同等、あるいはそれ以上のよい値を示したこととなり、少なくとも完全失業率の観点では、景況感は回復状態に手が届いたと判断できる(無論、正規・非正規問題や定着率の問題もあるが、それはまた別の話)。
続いて男女別にそれぞれ、学歴別のグラフを作成する。
大まかに分けて失業率が(高)「小学・中学・高校・旧中」「全体値」「短大・高専」「大学・大学院」(低)の順となるのは、男女合わせた全体値と変わらず。一方で、
・完全失業率は全体的に男性の方が高い。
・学歴間における完全失業率の差は男性の方が大きい。
・他の階層が2007年以降失業率を上げる中、男性の「大学・大学院」のみが失業率を下げていた。しかし2009年にはその例外も失われた。
などの傾向が見られる。
これらのデータはあくまでも数字的に「学歴が高い方が失業率が低い傾向にある」との失業率の一側面を示したのみの話。多分に相関関係だけで無く因果関係も類推できたとしても、「高学歴万能主義」の肯定・否定とは別次元の問題であることに気をつけてほしい。
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March 02, 2020 at 03:33AM
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