【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン米政権は、自民党総裁選で岸田文雄前政調会長が新総裁に選ばれ、次期首相に選出される運びとなったことに関し、「日本政治に安定性と継続性をもたらす」(バイデン政権関係者)として歓迎する姿勢を示している。
バイデン政権高官は29日、次期首相となる岸田氏について「バイデン大統領は日米協力の強化に向けて一緒に取り組んでいくのを楽しみにしている」とする声明を発表した。
国務省報道官は同日、菅義偉首相に対し「日米同盟の強化と発展に尽力した」として謝意を表明した上で、岸田次期政権の誕生に向けた民主的手続きを「重大な関心をもって注視している」と指摘した。
岸田氏は、第2次および第3次安倍晋三内閣で外相を務めた際、当時のジョン・ケリー国務長官と良好な関係を築いたとされる。
ケリー氏は現在、バイデン氏の気候変動担当大統領特使を務めており、10月末から英グラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、首相就任から間もない岸田氏に気候変動対策での連携の強化を働きかける局面も想定される。
また、米軍に原爆を投下された広島市を地盤とし、核廃絶への思い入れが強い岸田氏は外相時代の2015年に、翌年のオバマ元大統領による広島の被爆地訪問を強く後押ししたことでも知られている。
バイデン氏は「核兵器なき世界」を唱えたオバマ氏の路線を一定程度継承し、ロシアや中国との新たな軍備管理を目指している。このため米国では、岸田氏が核問題でバイデン氏と歩調を合わせやすいとの見方がある一方、岸田氏が強力な安全保障政策の推進に及び腰になる、との懸念を呼ぶ恐れもある。
アジア情勢に詳しいブッシュ公共政策行政大学院のトーマス・シンキン氏は、岸田氏が15年に日韓の慰安婦合意を主導したことから「ワシントンの政治家や政策当局者らは、岸田氏が歴史問題などで冷却化した日韓関係の修復に動く、との期待をかける可能性がある」と指摘する。
バイデン政権は、中国の台頭をにらんだインド太平洋戦略や北朝鮮の核問題への対処に向け、日米韓3カ国の連携強化の重要性を訴えており、岸田次期政権に韓国との関係改善を促してくる可能性もある。
一方、米専門家の多くは岸田氏が首相として強力なリーダーシップを発揮できるかを注視している。
同氏の政権運営が来年の参院選を前に早々に行き詰まる事態となれば、日本の政治が首相の頻繁な交代で不安定化する状態に回帰するのを懸念する声が米国でも強まりそうだ。
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