太陽系にまつわる謎のなかでも特に興味深いのは、海王星の外側に巨大な氷の惑星が本当にあるのかどうか、という問題だ。もし実在すれば太陽系第9の惑星となることから、仮に「プラネット・ナイン」と呼ばれているが、この仮説は、提唱された当時から賛否両論を巻き起こしてきた。一部の小さな天体が描く奇妙な軌道から推定されたものだからだ。
そんななか、米カリフォルニア工科大学の天文学者であるマイク・ブラウン氏とコンスタンティン・バティギン氏は、もしプラネット・ナインが実在するとすれば、これまで考えられていたよりも地球に近く、より明るく、見つけやすいだろうという分析結果を発表した。両氏による論文は、学術誌「Astronomical Journal」に8月22日に受理され、近く掲載される予定だという。
論文によると、これまでプラネット・ナインは太陽の周囲を1万8500年の周期で公転していると考えられてきたが、新たな計算ではその期間が7400年に短縮された。また、質量は地球の約6倍である可能性が高い。地球よりは大きな岩石惑星か、あるいは海王星よりは小さなガス惑星かということになるだろう。
「あと1~2年でプラネット・ナインは見つかると思います」と、ブラウン氏は自信を見せる。ただし、「ここ5年ほど、毎年同じ予測を立てていますけどね。私は超楽観的な性格なので」と付け加えた。
ブラウン氏とバティギン氏はプラネット・ナインが潜んでいそうな空の一帯を示した「宝の地図」も作成した。その地図を横切るように、天の川が流れている。プラネット・ナインは、多くの星が密集し明るい光を放つ天の川に隠れていたために、これまで見つけられなかったのだろうか。(参考記事:「第9惑星の存在示す?準惑星を太陽系外縁で発見」)
「これで、どこを探すべきか、どこを探さなくても良いかがわかります。私たちの方で何か間違えていない限り、大丈夫でしょう」と、ブラウン氏は言う。
姿の見えない遠い星
ブラウン氏らがプラネット・ナインは存在すると考える理由は、それが海王星の外側にあるカイパーベルトの天体の一部に影響を与えているように見えるためだ。カイパーベルトに集まる小さな天体のなかには、太陽に最も接近したときの距離は太陽・地球間の約50倍以内なのに、最も離れたときはその3倍以上になるなど、極端な軌道を持つものがある。
2016年、バティギン氏とブラウン氏は、そのうち6個の天体について詳しく調べていた。それらの天体の楕円形で傾いた軌道は、科学者たちを長年困惑させてきたが、このときブラウン氏らのチームは、質量が地球の約10倍ほどの惑星が、重力によって天体の軌道に影響を与えているに違いないと結論付けた。惑星の質量は、地球よりは大きく、海王星よりは小さいと推定された。(参考記事:「太陽系に第9惑星の証拠見つかる」)
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