NECパーソナルコンピュータは8月17日、7型と8型の個人向けタブレット「LAVIE T8(T0875/CAS)」を発表した。前者なら2万円台、後者なら3万円台と、大手メーカー製としては比較的安価なモデルだ。今回は8型が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
MediaTek Helio P22T/6GB/128GBで3万円台の8型Androidタブレット
この日、8型として発表のあったのは、「T0855/CAS」と「T0875/CAS」の2モデル。違いはメモリとストレージ、そして価格で、前者は3GB/32GB/3万580円、後者は6GB/128GB/3万8,280円となる。個人的にはこの程度の価格差なら使い勝手を考えると後者だけでいいのでは? と思ってしまうが、そこは同社の都合もあるのだろう。
参考までに昨年、2020年の8型は「TE708/KAS」と「TE508/KAS」の2モデル。両者で仕様は結構異なり、SoCはMediaTek Helio P22T/MediaTek Helio A22、メモリは4GB/2GB、ストレージは64GB/32GB、パネルは1,920×1,200ドット/1,280×800ドット、カメラは500万画素:1,300万画素/200万画素:800万画素……など。
今回手元に届いた上位モデルのT0875/CASは、このTE708/KASのSoCそのまま、パネル解像度とカメラ解像度を落とし、メモリとストレージを増量的な感じとなっている(バッテリ容量も少し増えている)。主な仕様は以下の通り。
NEC「LAVIE T8(T0875/CAS)」の仕様 | |
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SoC | MediaTek Helio P22T(4×2.3GHz+4×1.8GHz)、GPUにIMG PowerVR GE8320を内包 |
メモリ | 3GBまたは6GB/LPDDR4X |
ストレージ | 32GBまたは128GB |
OS | Android 11 |
ディスプレイ | 8型ワイドIPSパネル(1,280×800ドット) |
ネットワーク | IEEE 802.11ac、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | USB Type-C(USB 2.0)、microSDカードスロット、スピーカー×1(Dolby Atmos対応)、マイクロフォン×1、3.5mmジャック |
センサー | GPS、加速度センサー、照度センサー、近接センサー |
カメラ | 前面:200万画素(FF)/背面:500万画素(AF) |
バッテリ/駆動時間 | 5,100mAh/約13時間(Web閲覧) |
サイズ/重量 | 199.1×121.8×8.15mm(幅×奥行き×高さ)/重量約305g |
価格 | 3万580円(3GB+32GB)/3万8,280円(6GB+128GB) |
SoCはMediaTek Helio P22T。2.3GHz 4コア+1.8GHz 4コアの計8コア。GPUにIMG PowerVR GE8320を内包する。2年前に出荷されたSoCで、当時はSnapdragon 625の対抗馬的(つまりミドルレンジ)な位置付けだったが、現在は性能的にエントリーレンジとなる。
メモリは6GB(下位モデルは3GB)、ストレージは128GB(下位モデルは32GB)。メモリ、ストレージともにこのクラスでこの容量は珍しい。OSにAndroid 11を搭載する。
ディスプレイは8型ワイドIPSパネル。1,280×800ドット。Type-Cの映像出力は未対応。インターフェイスは、USB Type-C(USB 2.0)、microSDカードスロット、スピーカー×1(Dolby Atmos対応)、マイクロフォン×1、3.5mmジャック。センサーはGPS、加速度センサー、照度センサー、近接センサーを搭載する。カメラは前面:200万画素(FF)/背面:500万画素(AF)。前面は顔認証対応だ。
5,100mAhのバッテリを内蔵し、駆動時間は最大約13時間(Web閲覧)。サイズ199.1×121.8×8.15mm(幅×奥行き×高さ)、重量約305g。価格は3万580円(3GB+32GB)、3万8,280円(6GB+128GB)となる。内容的に少し高い気もするが、大手メーカー製でサポートも期待できる分、割高なのだろう。
なお、別売でスタンド機能付き(ネイビーブルー)、保護フィルム付きの専用ケース「PC-AC-AD023C」が税込3,278円で用意されている。
筐体は裏がメタリックなシルバー。安価なモデルにありがちなチープ感はない。重量は実測304g。最近、200gを超えるスマホが結構あるので、+100g程度なら8型としては軽い方だ。サイズ的に片手で楽々とは言えないものの、かろうじて持つことができる大きさだ。
前面はパネル中央上に前面カメラ。フチはそれなりにある。背面は左上に背面カメラ。上側面に3.5mmジャックとスピーカー用のスリット。右側面に音量±ボタン、電源ボタン。下側面にType-C。左側面にmicroSDカードスロットを配置。microSDカードスロットはイジェクトピン式だ。
付属品はACアダプタ(サイズ約42×40×22mm、重量37g、出力5V/2A)、Type-A/Type-Cケーブル、イジェクトピン。
8型1,280×800ドットのディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて十分。価格の割に良いパネルが使われている。設定 > ディスプレイ > カラーモードで色温度なども変更可能だ。ただ昨年のTE708/KASは1,920×1,200ドットだったので、ワンランク下がっているものの、このサイズなら特に気にならないと思われる。
カメラは前面:200万画素(FF)、背面:500万画素(AF)。モードはポートレート、写真、動画、翻訳(背面のみ)。ちょっと面白いのはポートレート。一般的なポートレートモードと違い、撮影中の画面では背景はボケず、撮影後にボケ処理が施される。
ただ写りは今時としては良くなく作例は省略した。(翻訳があるので、そうも行かないのだろうが)この程度なら無理して背面を付けず、顔認証/Web会議用で前面のみにしてコストダウンした方がいいのではないだろうか。
発熱はベンチマークテスト中も含め試用した範囲ではまったく気にならなかった。サウンドは、スピーカーが上側面(Type-Cを下にした場合)にあるため、上に音が逃げ、そのままだとボリューム感はそれなりだが迫力不足になる。横位置時も含め手で覆うと前に音が回るため迫力が増す。音質はこのクラスとしては良い方だろう。設定 > 音 > ドルビーサウンドアプリでダイナミック/映画/音楽/カスタムの設定が可能だ。
3.5mmジャックの出力をMDR-EX800STで視聴したところ、音の傾向そのままパワーアップ。エントリークラスなら十分ではないだろうか。
以上のように、カメラは安価なAndroidタブレットとしてありがちなパターンだが、ほかの部分は上手くまとまっている。個人的にはスピーカーがステレオならよりベターだった。
素のAndroid 11に加え子供の利用を想定
初期セットアップは、Wi-Fiに接続後、Googleアカウントなどは設定せず、新規として作業した。計8画面。キッズスペース用の確認パネルがあるので1画面多いが、独自アカウントなどのパネルもなくサクッと終わる。
認証は顔のみ。指紋には非対応。パターン/PIN/パスワード設定後、登録可能となる。認証はハイエンドのスマホなどと比べると少し時間がかかる感じだ。
ホーム画面は2画面。1画面目に同社お馴染みのinfo.Boardウィジェットが陣取っている独特のもの。2画面目はGoogle Pay、カレンダー、Podcasts、ニュース。左側の矢印はエンターテイメントスペース。以前ここはGoogle Newsだったところだ。
DockにSupportフォルダ、Googleフォルダ、Duo、アシスト、Yahoo!Japan、Chrome、Playストアを配置。余計なお世話だが、初心者向けだと「Support」は「サポート」の方がいいのではないだろうか。
ストレージは128GB中11%が使用済み(若干の画面キャプチャを含む)。IMEはiWnn IME。Gboardを使わないのは同社のこだわりか。クイックアクセス/通知エリア、ホームの設定/ウィジェット/ 壁紙は従来通り。ナビゲーションのデフォルトはジャスチャー式だ。基本素のAndroidなので、操作に戸惑うことはないだろう。
インストール済みのアプリは、「アシスタント」、「オリガミ」、「お客様登録」、「カレンダー」、「キッズスペース」、「サービス一覧」、「さとふる」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュース」、「パスワードマネージャー」、「フォト」、「マップ」、「マニュアル」、「らびぽパーク」、「音声レコーダー」、「時計」、「設定」、「電卓」、「翻訳」、「連絡帳」、「Amazon Music」、「Camera Go」、「Chrome」、「Dolby Atmos」、「Duo」、「Files」、「Fit」、「G CROWN」、「Gmail」、「Google」、「Google One」、「Google Pay」、「Google Playムービー&TV」、「Home」、「i-Filter」、「info.Board」、「Jazzles」、「Keepメモ」、「OneNote」、「Playゲーム」、「Playストア」、「Playブックス」、「PodCasts」、「Travelzoo」、「U-NEXT」、「Yahoo!Japan」、「YouTube」、「YT Kids」、「YT Music」。
本機の特徴としては子供の利用を想定していることで、Googleのキッズスペースを採用(昨年のモデルでは独自仕様だった)。アプリとして英語学習用にJazzles、子供向けプログラミングにオリガミ(サイトへのリンク)を装備している。
パフォーマンスはもう少しほしいが、バッテリ駆動時間は約12時間
ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5.4.1とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5.4.1はSingle-core 160、Multi-core 929、OpenCLは途中で落ちたので不明。Google Octane 4,577。
以前掲載したHelio P35搭載の「Xperia Ace II」といい勝負だ。2021年のエントリーモデルならこの程度となるのだろう。何をしても一呼吸待たされ、個人的にはせめて各スコア倍程度はほしいところ。また、子供用だから遅くても……というのは違って、逆に反応の速い方が良いと筆者は思う。
バッテリ駆動時間は、明るさ、音量ともに50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約12時間でバッテリが切れた。仕様上はWeb閲覧で約13時間なのでテスト内容を考えると妥当。12時間使えれば特に問題ない。
以上のようにNEC「LAVIE T8(T0875/CAS)」は、MediaTek Helio P22T/6GB/128GBを搭載した8型Android 11搭載タブレットだ。このクラスで6GB/128GBは良い意味で少し珍しい構成となる。ただベンチマークテストから分かる様にパフォーマンスはまさにエントリークラス。普段使いで大丈夫かどうかは個人差によると思われる。
大手メーカー製で、主に閲覧中心、手軽に扱える安価な8型を探しているユーザーにマッチする1台と言えよう。
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