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このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
お茶の水女子大学、独アイントホーフェン工科大学、台湾大学による研究チームが開発した「FieldSweep: A 2D Tracking System With Embedded Magnets and a Smartphone」は、スマートフォン本体と安価な永久磁石のみで2次元トラッキングを行う手法だ。
平面上で位置を追跡するためには、静電容量タッチパネルやカメラ、赤外線センサーを主に使ってきたが、これらは高価であり電源を必要とするため、日常生活や公共の場での利用には向かなかった。
今回は容易に実装できるデバイスを目指し、永久磁石(今回はネオジム磁石を使用)とスマートフォンのみで平面上のトラッキングを行った。複数の永久磁石を適切なパターンに配置した平面の上でスマートフォンを滑らせるように動かすことで、その位置をトラッキングする。
永久磁石が平面上に作り出した磁場をスマートフォンの三軸磁気センサーで計測し、磁力線の3次元ベクトルから磁石の相対位置を推定する。モーションセンサーや光学式センサーではトラッキングできない絶対座標も取得できる。
平面側で使うのは永久磁石と固定用の板だけで、電子部品や電源は不要。三軸磁気センサーはスマートフォンに標準的に搭載されており、磁石は安価なので、実装も低コストでできる。
スマートフォンを虫眼鏡のように使ったアプリケーションを作成した。ボード上に置いた紙の上にスマートフォンをかざすと、拡大した文字をディスプレイに表示する。内蔵カメラでズームしているわけではないが、拡大鏡のような効果が得られる。
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