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Saturday, June 27, 2020

【6月28日付社説】「エール」再放送/高い注目度生かし誘客図れ - 福島民友

 福島市出身の作曲家古関裕而と妻金子(きんこ)がモデルのNHKの朝ドラ「エール」は、放送を一時休止し、29日から第1回に戻り再放送される。新型コロナウイルスの感染拡大で、2カ月半にわたり収録を休止した影響だ。

 放送中の朝ドラの中断、再放送は異例で、注目度も高い。全国の視聴者が本県への関心を高める絶好の機会と捉え、誘客や地域の活性化につなげたい。

 3月末の放送開始から13週にわたり、65回分が放送された。序盤は、主人公が作曲家を志して上京するまで過ごした福島市、川俣町を舞台としたシーンが数多く登場したが、コロナ禍で外出や移動が制限された中での放送だった。

 現在は県をまたぐ移動、県外からの誘客もできる。今月1日に再開館した同市の古関裕而記念館は、県外からの来場も可能となった先週末の来館者が20日は342人、21日は451人と、その前の週末の1.5倍に増えた。

 同市では実家の呉服店の玄関を再現したセット、撮影で使われた衣装や小道具が並ぶ「エール展」が始まり、古関の足跡を貴重な資料で紹介する「まちなか青春館」が開館した。同市と川俣町のゆかりの地を巡るスタンプラリーも26日に始まった。

 ようやく古関と、その古関を育んだ土地の魅力に触れてもらえる環境が整った。主催者は感染防止に細心の注意を払い、来場者の満足度が高まるイベントや、会場周辺を周遊し、飲食、買い物を楽しめる企画なども展開してほしい。

 日銀福島支店の試算では、朝ドラによる経済への波及効果は、コロナ禍の影響を織り込まなかった場合で約48億円に上る。本県への宿泊客は前年から約13万人の増加が見込まれる。朝ドラの盛り上がりを、どう経済効果に結び付けるか、知恵の絞りどころといえる。

 古関の盟友の歌手伊藤久男の故郷・本宮市など、経済効果を全県に広げることも大切だ。新型コロナ対策で政府が8月の開始を目指す「Go To キャンペーン」などを見据え、自治体間の連携を強化し、県内の各観光施設や宿泊施設への誘導策も検討したい。

 放送終了後を見据えた取り組みも重要になる。放送再開日は未定だが、9月末で終了予定の放送が10月以降にずれ込むことは確実だ。福島市は9月に古関メロディーが車内外で流れるバスの運行を始める。秋以降に予定される記念館の常設展示の刷新も急ぎたい。

 一過性のブームで終わらせてはならない。長期的な視点でまちづくりなどに生かすことも大切だ。

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June 28, 2020 at 06:52AM
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